NEW RELEASE

Fred again.. × BIA、現場発のキラートラック『ICEY..、..FEISTY』ついにリリース

Fred again.., BIA - ICEY..FEISTY

Fred again..(フレッド・アゲイン)がアメリカのラッパー、BIA(ビア)を迎えた2曲入りEP『ICEY..、..FEISTY』をリリースした。



本作に収録された2曲はいずれも、BIAが2021年に発表したThe Neptunesプロデュースの「CAN’T TOUCH THIS」をサンプリングしている。


「ICEY..」は、硬質な808キックと空気を切り裂くようなフランジャーのエフェクト音が加速度的に走り抜けるイントロが印象的だ。UKG的なブレイクビーツを想起させるこのリズムは、机を叩く音、マーカーがガラスに触れる音、ホワイトボードイレーサー同士を擦り合わせた音など、日常的な物音をサンプリングして構築されたユニークなものだとFredは投稿で語る。そうした“人間らしさ”を残した音作りと、熱量を排し冷たいアティテュードを貫くBIAの声、そしてFred独自のUKアンダーグラウンド感を帯びた低音デザインが重なり、単なるジャンル融合に留まらない、ダンスフロア/ラップ/音響実験の三層が溶け合ったトラックへと昇華されている。



対する「..FEISTY」では一転してBPMを落とし、さらに深い低音域へ潜り込むようなロービートが展開。チョップされたBIAの声と重心の低いベースが混じり合うことで、これまでのFredの作品の中でも、特にベースヘヴィーさが際立つ仕上がりとなっている。この曲はすでに現場でプレイされ、ライブ映像がSNSに多数投稿されていたほか、「CAN’T TOUCH THIS (Fred Remix)」名義でFloating Points、CaribouとのDJセットにて披露され、Apple Musicのトラックリストにもクレジットされていた経緯があり、ファン待望の正式リリースとなった。



さらに、この楽曲のMVも公開された。映像には、若干16歳のスロベニア出身ダンサーIan Hotkoが出演。彼をバンクーバーへ招き、会場で実際に楽曲を流し、そのフロアで踊る姿をそのまま撮影したものだ。Fredによると、事前に「曲を聴いておく?」と確認したところ、Ianは「freestyleで踊りたいから」と答えたそうで、撮影されたダンスは完全に即興だったという。また、ダンスチャレンジとの親和性が高いことからSNSでも多数使用され始めており、早くもカルチャー的な広がりが期待されている。



本作は「10週で10曲を発表し、10都市で10公演を行い、12月にアルバムとして完成させる」という、現在進行中の壮大なUSB002プロジェクトの最新作だ。FredはInstagramで「1週間に1曲以上公開してるけど、この流れが自然で気持ちいいからそのままいく」と語っており、その言葉どおり制作・ライブ・アップデートが循環しながら作品が育ち、そのプロセス自体がファンにも可視化されていく。まさに「生きているアルバム」と呼ぶにふさわしい展開が行われている。
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BIAはBoston出身のラッパーで、Nicki Minajとの「WHOLE LOTTA MONEY」リミックス、映画『Fast X』への楽曲提供、さらにJ BalvinやKali Uchisとのコラボレーションなどで知られる存在。David GuettaやTiestoとの共演歴もあり、ヒップホップに留まらず、ラテン〜ダンスミュージックまで横断する多彩なアーティストだ。




EP配信日にFredはバンクーバーで公演を実施し、ゲストにSkream & Benga、UKベース・シーン注目株のSicariaを迎えた。Skream & Bengaとしては15年以上ぶりの北米ライブとなり、Fred again.. × Amyl and the Sniffers「You’re a star」のSkream & Bengaリミックスがサプライズで披露されるなどダブステップを軸に象徴的な夜を彩った。


さらにライブ中には、Bengaが13歳の頃に制作した自身の楽曲を、Fredが密かにリミックスし、本人の目の前でサプライズ披露する場面もあった。自身の音楽観を大きく形づくった「ヒーロー」とも言える二人への敬意と愛情が込められた、まさに思い入れの深い特別な夜となった。



現在Fredは「あと2週間、ライブもあと2本しか残っていないなんて信じられない」と語りつつも「残りの公演は、僕らが特に愛している会場」と予告。次回はサンフランシスコ・COW PALACEで行われ、Hamdi、Oppidan、そしてBad Juju、Clearcast、VertigoによるB3Bセットなど豪華なラインナップが控えている。


終盤戦に入り、いよいよ完成形へ近づきつつあるUSB002プロジェクト。ラストスパートを迎えたいま、この試みが最終的にどこへ着地するのかは、まだ誰にも予測できない。次の1曲、次の会場、そのたびに更新され続けるアップデートがどんな方向へ進むのか、引き続き目が離せない。

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