NEW RELEASE

Fred again..、“蝶が舞った夜”をジャケ写に—「その瞬間を翌日のアートワークに」する新曲「OGdub」発表

Fred again.., Danny Brown, BEAM, PARISI - OGdub

Fred again..とDanny Brown、BEAM、そしてPARISIによるコラボレーション曲「OGdub」がリリースされた。



本作は進行中のプロジェクト『USB002』における第2のトラックとして発表されたもので、先週公開されたAmyl and the Sniffersとの共作「you’re a star」に続く作品となる。

Fred again.. x Amyl and The Sniffersコラボ曲「you’re a star」で新章『USB002』始動


「OGdub」はポスト・ダブステップ/UKベースの影響を色濃く感じさせる一曲だ。重量感のある低音と反復するリズムを基盤に、重厚なキックとシャッフルするハイハット、そして空間を切り裂くようなエキゾチックなフレーズが楽曲全体の緊張感を煽る。



最大の特徴は、JPEGMAFIAとDanny Brownの楽曲「Burfict!」をサンプリングしている点だ。アバンギャルドかつ実験的なヒップホップを切り開いてきたDanny Brownの甲高くザラついた声がカットアップされ、ビートに絡みつくことで、トラック全体に攻撃性と鋭さを与えている。Fred自身も投稿で、十代の頃から聴き続けてきた「刺激的な存在」と形容している。



そこに重なるのが、ジャマイカ系アメリカ人アーティストBEAMの歌とラップだ。ダンスホールとトラップを融合させた独自のスタイルで知られ、Major LazerやJustin Bieberとの共作、さらにはSkrillexのアルバム『Don’t Get Too Close』収録の「Selecta」への参加でも注目を集めた彼は、ここでもダンスホール的なフロウを持ち込み、サンプリング由来のざらつきに新たなエネルギーを注ぎ込んでいる。Fredの作品では、「Selecta」での彼の声が「Rumble」でサンプリングされていたが、正式なコラボレーションとして参加するのは今回が初めてだ。


そして、長年Fredの創作を支えてきたPARISI兄弟による緻密なプロダクションが、楽曲全体を巧みにまとめ上げる。結果として「OGdub」は、クラブのピークタイムに映える強力な「武器」であると同時に、実験性と多層性を兼ね備えた仕上がりに。



『USB002』は、Fred again..が提唱する“無限に変化するアルバム”の第2章にあたる。今回は「10週間で10都市を巡り、毎週1曲ずつ新曲を発表する」という構想で進行しており、12月中旬までに全10曲が公開される予定だ。

Fred again.. 新アルバム「USB002」発表、10都市ポップアップツアー開催へ


第1弾シングル「you’re a star」の発表に合わせて開催された初回公演は、UK・グラスゴーで行われた。日本からは¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$U(Yousuke Yukimatsu)、そして2022年に「Lights Out」でコラボレーションしたHAAiが出演。さらにBoris Acketによるインスタレーションも加わり、音楽とアートが融合した没入型の体験が提示された。



続く第2週のブリュッセル公演では、地元DJのKOMA、LAURAVIOLI、DC Noises、SHOPLIFTERを招き、ラジオ出演も果たすなど、現地コミュニティとの強い結びつきを示した。


さらにベルギーを代表するポップ・アイコンStromaeへのトリビュートとして彼の楽曲もプレイ。会場全体を巻き込む特別な時間が演出された。



Fredはインスタグラムで、このプロジェクトでは「各公演の翌日、その夜に撮った写真をジャケットにする」という仕組みを発信している。

「毎週曲がリリースされると、アートワークは最初の24時間この表示になります。というのも、その夜のショーで撮った写真を翌日にアートワークとしてアップするというアイデアだからです。」


第1週の「you’re a star」では、歯に星の装飾をつけた女性Nicoletteの写真が使われ、偶然の出会いを象徴するアートワークとなった。




「先週は『You’re a star』という曲だったんだけど、信じられないことに歯に星がついている素敵な人、Nicoletteに出会ったんだ!」


「これがその写真だよ」


そして第2週となるブリュッセルの夜には、ステージ中に蝶がDJブースを舞い、最終的に仲間の手に止まるという出来事が起き、その瞬間がアートワークとして採用され、音楽と現場の体験が一体化した表現へと昇華された。

「ブリュッセルでは、この蝶が10分くらいDJブースの周りを飛び回ってたんだ!会場は巨大な温室のような雰囲気で、周囲に木々があって、多分ストロボに夢中になってたんじゃないかな?」


「そして蝶は、僕の後ろにいたArunの手に止まったんだ!(しかも面白いのは、この曲のベースも自分には蝶がひらひら舞うみたいに感じられるんだよね)」


「そしてこれがTheoがその写真を撮った瞬間だよ!!! ショーを“今この瞬間”の形で記録する新しい方法を見つけるのが本当に楽しい。」



第3週の公演は10月17日にスペイン・マドリードで開催される予定で、ゲストにはオーストラリアのDJ/プロデューサーSkin on Skinが登場する。シドニー出身の彼は、ヒップホップのサンプルとハウス/テクノを荒々しく融合させるスタイルで注目を集め、2021年の「Multiply」で一気に世界的ブレイク。その後「Burn Dem Bridges」がアンダーグラウンドから爆発的に広まり、ヨーロッパや北米の主要クラブを席巻する新世代アクトとなった。





Fredは「彼とマドリードのための新しい曲を用意している」と明かしており、この公演がUSB002のターニングポイントになる可能性も高い。さらにスペインからはDREAやToccororoといった地元アーティストも参加し、それぞれの都市ごとに異なる物語が描かれていくことになる。


回を重ね、明らかになったジャケットのコンセプト。偶然の瞬間をそのまま作品に取り込む手法は、『USB002』を「楽曲・ライブ・アートワークが有機的に結びつく進行形のアルバム」として際立たせている。星の装飾を施した歯との出会い、ブリュッセルでの蝶の舞、そしてマドリードでの新曲とSkin on Skinの登場。残る8曲がどのように響き、どんな瞬間がジャケットとして刻まれるのか、世界中の視線がその行方に注がれている。