UK出身のDJ/プロデューサー・デュオChase & Statusが、ロンドン出身のラッパーPozerを迎えた新曲「Through The Pain」をリリースした。今作はChase & Statusにとって2026年最初の新曲であり、近年の「Baddadan」「Backbone」で改めてシーンの中心へ返り咲いた彼らが、その勢いを今年も継続していくことを強く印象づける一曲となった。
この曲の魅力は、荒々しいビート感と、Chase & Statusらしい無骨で重量感のあるベース・ミュージックの芯にある。そこへPozerの鋭く高速なラップが食い込むことで、今のUKストリートの空気をまとった緊張感が生まれ、ビートの硬さ、低域の重さ、ラップの切迫感でフロアを制圧していく、彼ららしい楽曲に仕上がっている。特に印象的なのが、イントロからPozerのラップを下支えしつつ、ときに歪んだサウンドを覗かせながら、その凶暴性を少しずつ露わにしていく高速四つ打ちのドラムだ。ガバやロッテルダム・テクノ、アーリーレイヴを思わせるラフで粗い音像が、楽曲の攻撃性をさらに高めている。近年のドラムンベースは、ハードコアやハードスタイルとも親和性の高い4×4(四つ打ち)を取り込む流れの中でシーンを拡張してきたが、その中でも本作は、より攻撃的な音像を導入することで、UKクラブ・ミュージックからUKラップ、ドリル以降へと連なる荒々しさを表現した異彩を放つ一曲とも言える。
今作は、配信に先駆けてロンドンのクラブCorsica Studiosで開催された“スマホなし”のパーティーで先行披露され、Pozer本人も参加した。新曲がまずスマホ越しに拡散されがちな今の時代に、最初の接点をあえてフロアに委ねたことは象徴的であり、Chase & StatusとPozerが大規模フェスではなくロンドンの密度の高いクラブで交わったことが、この楽曲のストリート感をより際立たせている。
Chase & Statusは、Saul MiltonとWill Kennardによるデュオで、長年にわたりドラムンベース、ダブステップ、ブレイクスを横断しながら、UKダンス・ミュージックをメジャーシーンにまで広げてきた存在だ。2024年にはBRIT AwardsでProducer of the Yearを受賞し、シーンの中核であり続けることを改めて示した。さらに昨年は来日を果たし、SNOW MACHINEや新宿ZEROTOKYOでの公演でも大きな熱狂を生んでいる。UKではTop 10ヒット7曲、Top 40ヒット13曲を記録し、「Backbone」では自身初の全英No.1も獲得。ベテランでありながら、いまなおシーンの更新者であり続けている。
PozerはUK Jersey Drillの先駆者の一人としても知られ、従来のドリル一辺倒ではない、跳ねるようなリズム感や変則的なフロウを武器に存在感を高めてきた。短いキャリアながら1億回を超えるグローバル・ストリームを記録し、最初の2曲を同時にUKチャート入りさせた初のUKラッパーとして注目を集め、2025年にはMOBO AwardsでBest Drill Actも受賞している。そうした感覚がChase & Statusの重厚なサウンドと噛み合うことで、本作はUKベース・ミュージックとUKラップの融合をさらに押し広げた一曲に仕上がっている。
Chase & Statusはこの先も大きな舞台が続いており、2026年5月にニューヨーク、6月にBonnaroo、8月にはReading & Leeds Festivalへの出演が控えている。さらに夏にはTomorrowland Belgiumへの参加も予定されており、今年も大型フェスの最前線で彼らのサウンドが鳴らされていくことは間違いない。