NEW RELEASE

PinkPantheress「Illegal」を、SkrillexやFred again..も信頼を寄せるFour Tetが再構築

PinkPantheress - Illegal + Four Tet

UK出身のPinkPantheress (ピンクパンサレス)が、Four Tet (フォー・テット)を迎えた人気曲「Illegal」の最新バージョン「Illegal + Four Tet」をリリースした。



今作は、UKエレクトロニック界の重鎮として知られるFour TetがDJセットで先に鳴らしてきたバージョンが、ストリーミング限定で公式化された形となる。


原曲「Illegal」は、Underworldの1994年作「Dark & Long(Dark Train Mix)」をサンプリング。PinkPantheress特有のベッドルーム的DIY感を残しながら、UKガラージ〜2ステップ的なビートを、いわゆる“anti-pop”的な距離感と日記のように親密で私的なムードに落とし込んだ。ノスタルジーと革新性を同居させた耳に残る一曲だ。短い尺の中でフックが鋭く、ポップでありながらどこか影を帯びた空気が、唯一無二の魅力になっていた。

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ノスタルジーと”今”を繋ぐカムバック作




そこにFour Tetのテイストが入ることで、派手なチューンアップや過剰な盛り上げではなく、よりタイトなビートと、フロア鳴りを重視した攻めのベースラインが加わる。反復の気持ちよさと低域の圧を足しながらも、原曲の繊細さを損なわず、クラブ的な集中力へと導く仕上げだ。加えて、歌が入るまでの意図的な無音の間や音の抜き差しでグルーヴを際立たせる設計は、Four Tetの職人芸として機能している。

そしてこの“設計力”こそが、Four Tetが長年シーンの中枢にいる理由でもある。近年はSkrillexやFred again..といった現行のトップランナーたちと同じ現場を並走し、制作面でも判断面でも「信頼できる存在」として語られることが多い。派手さではなく、曲の芯を残したまま強度を上げる。そのバランス感覚が、彼を“メンター的存在”に押し上げてきた。


ユニークなのはPinkPantheress本人の反応で、彼女はFour Tetリミックスの話を初めて聞いた時に「kinda stunned (ちょっと固まった)」と語り、以前から彼の音楽を敬愛していたこと、特に「Alap」が個人的フェイバリットだと明かしたうえで、「Illegalに参加してくれて本当に光栄」とリスペクトを伝えている。つまりこれは、次世代UKポップの象徴的存在が、長年憧れてきた電子音楽の巨匠と交差した象徴的な出来事である。


PinkPantheressはBRIT Awards 2026でProducer of the Yearを受賞し、同賞設立以来の女性初、かつ最年少受賞としても大きく注目を集めたばかり。その大きな節目の直後にこのリミックスを投下したことも、女の2026年を「次のステージへ踏み込む年」として印象づける。

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そして先日、ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート金メダリスト、アリサ・リュウがエキシビションで「Stateside」(PinkPantheress + Zara Larsson)を使用し大きなバズを生み、さらにこの2月に初来日公演も実現したばかり。

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こうした動きは単発の話題に留まらず、『Fancy That』から派生した22曲のリミックス集『Fancy Some More?』というプロジェクトとも連動している。Anitta、Kylie Minogueといったポップ側の大物から、『Fancy That』本編でサンプリング/引用してきたBasement Jaxx、Groove Armadaのようなレジェンド、さらにKaytranada、Nia Archives、Mochakkらクラブ側のキーパーソンまでを同じ宇宙に共存させる“ジャンル横断の異種格闘”が成立しているのも見逃せない。

PinkPantheressは5月から始まるUK&ヨーロッパ・ツアーを発表したばかり。そしてFour Tetも4月16日に豊洲PITで「OPEN TO LAST – 4 HOURS SET」を予定している。ここ日本で、彼が拡張させたPinkPantheressの「Illegal」がどう鳴らされるのか、楽しみだ。