Pinkpantheress
NEW RELEASE

PinkPantheress 最新ミックステープでUnderworld、Basement Jaxxをサンプリング ノスタルジーと”今”を繋ぐカムバック作

PinkPantheress - Fancy That

UKの新鋭シンガー、PinkPantheress(ピンクパンサレス)が最新ミックステープ『Fancy That』をリリースした。



今作は、彼女の音楽的進化とジャンルを超えたセンスを凝縮した作品として、早くも数々のメディアで話題を集めている。全9曲、約20分というコンパクトな構成ながら、90年代から2000年代初頭のUKガラージ、ハウス、エモロック、ポップスなど、多彩なサウンドをサンプリングし、現代的に再解釈。コンセプチュアルなポップ・ジャーニーに仕上がっている。


先行シングルとして発表された「Tonight」は、Panic! at the Discoの「Do You Know What I’m Seeing?」(2008年)を取り入れたスピード感あふれるハウス・トラックに。




そして、Charli XCXのグラミー受賞作『BRAT』のサウンド面を支える立役者の一人でもある、ニューヨークのプロデューサーThe Dareを迎えた「Stateside」では、Y2Kブレイクビーツ的なトラックにAdina Howard「Freak Like Me」(1995年)のフレーズが鳴り響く。彼女は当時の名曲を巧みに引用しつつ、独自の感性で懐かしさと新しさを共存させている。



SNSのティーザー映像で話題となった「Illegal」では、Underworldの「Dark & Long (Dark Train)」(1993年)をサンプリング。軽快なUKガラージのビートとテクノクラシックを融合させることで、PinkPantheressならではの再構築センスを発揮している。



さらに今作で最も多く引用されているのが、Basement Jaxxであるという点も意外なサプライズだった。Underworldと並んで90年代のUKダンスミュージックを世界に広めた伝説的ユニットの代表曲が、このミックステープの中で随所に再解釈されている。

「Girl Like Me」では2001年の「Romeo」と1999年の「Always Be There」を、



「Romeo」では2003年の「Good Luck」を、



そして「Stars」では2005年の「Oh My Gosh」をそれぞれサンプリング。



1作品の中で4曲ものBasement Jaxx楽曲が引用されているのだ。とはいえ、PinkPantheressの持つ“ダンス+ポップ”の次世代的な感性と、90年代から世界のダンスとポップのシーンを横断し続けたBasement Jaxxの“異端性”との共鳴は、非常に自然なものとも言えるだろう。

そのほかにも、「Noises」ではGroove Armada「Suntoucher」(2001年)、「Nice to Know You」ではWilliam Orbit「Spiral」(2006年)など、同時期のダンス・クラシックスもサンプリングされており、彼女の音楽的ルーツと着眼点のユニークさが際立つ構成となっている。



歌詞面でも「Stateside」では異文化恋愛の距離感や摩擦を新たな視点から描き、「Romeo」では新たな恋の高揚感と危うさをドラマチックに表現。禁断の恋や自己肯定感、若者特有の感情の揺れ動きが、彼女の柔らかなボーカルとともに内省的に描かれており、同世代のリスナーに強い親近感を与えている。

『Fancy That』は批評家からも高い評価を得ており、The Guardianは「ポップの過去と現在を行き来する鋭い感性」と評し、AP Newsは「軽やかでありながら芸術的な進化を遂げた作品」と称賛した。昨年、健康面を理由に活動を一時休止していた彼女にとって、この作品は本格的なカムバックとなった。

復帰作『Fancy That』は、PinkPantheressの音楽的アイデンティティをさらに深化させ、Z世代のポップアイコンとしての地位を再び確固たるものにした作品といえる。新たな章をスタートさせた彼女の今後の活躍に、大きな期待がかかる。