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Anyma GMO SONIC 2025 レポート

メロディック・テクノと最先端テクノロジーで魅せる話題のオーディオビジュアルショーが日本初上陸

GMO SONIC 2025のDAY1(1/25(土)・さいたまスーパーアリーナ)が行われAnymaが出演。最先端テクノロジーで魅せる話題のオーディオビジュアルショーが日本初上陸を果たした。



Anymaはイタリア出身のテクノユニットTales Of Usのメンバーにして、人気レーベル〈Afterlife〉の設立者。荘厳でドラマティックなメロディック・テクノを武器に、巨大LEDスクリーンに投影されるヒューマノイド「EVA」が楽曲とリンク。そのダイナミックな演出と圧倒的な没入感が世界的な人気を誇り、昨年末には世界で最も先進的な没入型会場として知られるラスベガスの「Sphere」で年越しカウントダウンショーを含む異例の6夜連続公演を開催した。このライブは発表から世界中で大きな話題となりチケットは即完売。全世界から合計10万人規模の動員を記録したばかりだ。そんな現行ダンスミュージックの最先端でシーンを席巻するAnymaにとって満を持しての初来日となった。


暗くなった会場に厳かに響き渡るオペラを彷彿とさせるチャント。スポットライトがDJブースにいるAnymaを照らすとその背後の巨大LEDにヒューマノイドが登場。SNSで数多く見てきた映像だが、国内屈指のLED映像演出を誇るGMO SONICのスペックをフル活用した映像に会場は飲み込まれた。映像や携帯越しに見るのとは違うまるで生きているかのようなリアルな動きと質感に圧倒されると「Sphere」公演のイントロでも使われていたAnyma & Y do I「The End Of Genesys」で幕を開ける。ヒューマノイドがガラスを叩き割って会場を覗き込む演出で大きな歓声が上がる。大きなインパクトと共に序盤はCassianのヒット曲「Dun Dun (Anyma & PACS Remix)」やAnyma & Argy & Son Of Sonによる未発表曲「Voices In My Head」で一気に彼の世界観に引き込まれる。


SNSを通しては気付かなかったが、彼のショーは実際に体験すると映像だけでなくレーザー演出との相乗効果でより没入感が高まる。そして大迫力で聴くメロディック・テクノのビートがそれぞれの世界観に合わせた魅惑的なビジュアルとシンクロし、DJ展開と共にアトラクションに乗っているような錯覚を覚えるほどだ。年末の「Sphere」公演で本人をゲストに迎え話題を集めたFKA Twigs「Eusexua (Anyma Remix)」も、シンガーになる前はダンサーとして活躍していた彼女自身が巨大なステージで舞い踊るビジュアルが展開され、さながら異次元のバレエ・ショーを見るようだった。


そして序盤のハイライトとなったのはAnyma & Baset「From Japan 」だろう。2021年のドラムンベース・ヒットVibe Chemistry「Balling」(2021)、さらにKelypso – She From Japan(2020)のラップをサンプリングし、歌詞や曲名に入った「Japan」というフレーズがリリース前にも関わらず話題になっている楽曲だ。富士山や渋谷の109ビルも登場する日本をイメージした未来的な街並みの中心に巨大なヒューマノイドが佇むビジュアルは、他国で披露した映像とは違う日本仕様のサプライズ。まるでアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の舞台である第三新東京市を彷彿とさせる。


後でレーベルスタッフが本人に聞いたところAnymaは大のアニメ好きで、実際にこの映像は「エヴァンゲリオン」インスパイアで制作したと語っていたらしい。


今回日本限定で販売されていたTシャツ、パーカーもAnymaロゴに赤いカタカナの文字で「アニーマ」というカタカナが振られ、大友克洋による世界的傑作漫画「AKIRA」からの影響を感じさせるデザインだ。そんな日本のカルチャーに対するリスペクトと想いを込めた楽曲が遂にここ日本で初披露された事に感慨深い気持ちになったファンも多かったであろう。


中盤にはPlayboi Carti「All Red (Anyma & SCRIPT Remix)」やLoofy「Last Night (Anyma & Layton Giordani Remix) 」など昨年世界中のフェスでハイライトを飾った話題のリミックス楽曲も惜しみなくプレイ。中でも印象的だったのは2024年のアフロハウス最大のヒット曲Adam Port & Stryv「Move」の(AnymaとCassianによるリミックス。ここでは重力を超越した滝のビジュアルが巨大LEDを彩っており、ヒューマノイドだけでは無い様々なコンセプトのビジュアル、さらには時に映像を映さず音とレーザーのみでストイックなダンスフロア体験を演出する時間を設けるなどパブリックイメージのSF感に縛られないショーとして緩急を付けていたのも特筆すべき点だろう。


そして「Sphere」公演時にサプライズ登場と共に初披露されたEllie Gouldingとの新曲「Hypnotized」をプレイ。この曲もまさに非ヒューマノイドを象徴するコンセプト映像で、彼女の顔が様々な形にモーフィングしていく展開に息を呑んだ。Alphadog「Extacy」では世界各国の都市の名を連呼するMCで「TOKYO」のかけ声を LOOPさせ観客の高揚感を煽る。時折り聞かせるフィルターの展開など事前に作られた音源をかけるだけではないリアルタイムでの生演奏感も感じさせた。


終盤はFred again.. & Swedish House Mafia ft. Future「Turn On The Lights Again.. (Anyma Remix)」から彼のメロディック・テクノの要であるトリッキーなシンセの展開が印象的なAnyma & Rebūke「Syren (Adam Sellouk Remix)」でフロアのボルテージを上げる。


水平線に広がる朝焼けをバックにヒューマノイドと宇宙の繋がりを壮大なスケールで描いたビジュアルで、Anyma & Massano ft. Nathan Nicholson「Angel In The Dark」ラストに未発表となるRÜFÜS DU SOL「You Make Me」で幕を閉じた。


芸術的な音楽とビジュアルのシームレスな融合。創造と自己認識を通して、進化、つながり、より高い意識の追求 の旅というテーマを描いたストーリー性。これら要素を圧倒的な表現力で日本の舞台で見せつけてくれたAnyma。現行ダンスミュージックとビジュアルの最高到達点の進化に今後も期待したい。