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Skrillex GMO SONIC 2025 レポート

DAY1のラストを飾った世界のトップランカー、新旧代表曲を縦横無尽に織り交ぜた圧倒的なセットに会場は熱狂の渦に

GMO SONIC 2025のDAY1(1/25(土)・さいたまスーパーアリーナ)が行われSkrilexがフィナーレを飾った。2023年以来の来日となる彼が魅せてくれた最新モードのDJプレイに会場は熱狂に包まれた。


Skrillexはエレクトロニック・アーティストとして最多の9度のグラミー受賞記録を保持し、2010年代のEDMムーヴメントの立役者の1人でありながらも世界的音楽シーンに影響を与え続けているトレンドセッター。ダブステップをハードに解釈した「ブロステップ」のパイオニアとして頭角を表し、ジャスティン・ビーバー代表曲の一つである「Sorry」をはじめLady Gaga、Beyoncé、The Weeknd、A$AP Rockyなどジャンルを超え数多くの大物アーティストのプロデュースも手掛ける。2024年の第66回グラミー賞ではSkrillex & Fred again.. & Flowdan「Rumble」で最優秀ダンス/エレクトロニック・レコーディング賞を受賞。常にその一挙手一投足に注目が集まっている。


Hamdi、Peggy Gou、Anymaといった現行ダンスミュージックの旬な海外勢が揃う中、DAY1の幕を閉じるのはキングSkrillexだ。その前に巨大LEDをフルに駆使したプレイを見せてくれたAnymaと打って変わってステージと会場は漆黒の闇に包まれていた。その中にシンプルに浮かぶ赤いSkrillexのロゴ。この日一番の大歓声に迎えられ登場した彼はSkrillex & PEEKABOO & G-REX & Flowdan「Badders (VIP)」からスタート。2年前のフェスの際に映画「となりのトトロ」を引用した流麗なオープニングとは趣向を変え、重低音が鳴り響くアリーナはすぐさま熱狂の渦に包まれた。

Photo by masanori naruse


そして2023年の大ヒットにして、ブロステップでそのキャリアを築いたSkrillexがUKアンダーグラウンド回帰した事でも話題となったグラミー受賞曲「Rumble」を投下。低音が響く中でもFlowdanのラップ部分を観客が大合唱する声が聞こえるほどの盛り上がりを見せた。そこからラップ違いのバージョンで Chase & Statusによるダブ・バージョンにスイッチ。歌詞の中に彼らの代表曲「バダダン」のフレーズが出てくるや否や会場からは再び大きな歓声が上がる。


間髪入れずにDAY1出演者のHamdiとのコラボ・トラック「Push」をプレイし、暗闇に包まれた数万人規模のアリーナがまるでアンダーグラウンドなクラブの空気をまとう。今回の彼のプレイで印象に残ったのは「Scary Monsters And Nice Sprites」や「Chicken Soup」などの往年のクラシックから、ISOxoとの未発表曲などを含む新曲、未発表曲をうまく混ぜていた事だ。時に最新バージョンにアップデートされた名曲を使用し、過去と今の彼をシームレスに繋いでいく。それはデビュー当初から先鋭的な楽曲を生み出していただけでなく、時代を経ても古くならないタイムレスな作品を作り続けていた彼の才能を改めて証明しているだろう。

Photo by masanori naruse


また積極的にソリッドなビートのテクノを多くかけていたのも今回の彼のプレイの特徴だった。中でもそのキッカケとなったBoys Noizeとの「Fine Day Anthem」はGMO SONICの怒涛のレーザー演出と相まって強烈なインパクトを残した。Headie One「Both」、Megan Thee Stallion「Body」のアカペラが乗るJOYRYDEとの未発表曲「Talk To Em」やLil Yachty、Pop Smokeのアカペラを乗せたSleepnet、Jokerとの「Tears」、A$AP Ferg「Work」Kanye West「CARNIVAL」など世界的ヒップホップ・ヒット曲をまぶし、ストイックな展開にも耳馴染みを与えフロアのハートをしっかりと掴む。

Photo by masanori naruse


Central Cee、Lil Baby「BAND4BAND (Skrillex Remix)」もBPM140近いテクノ・リミックスで、同日にプレイしたPeggy Gouも全体を通してBPMが速かった。Skrillexもダブステップやトラップに同じスピード感の四つ打ちを積極的に織り交ぜ、2020年以降に海外からの情報で耳にしていた「レイヴ・リバイバル」「BPM高速化」の世界的な海外シーンのムードをリアルに目の当たりにした気分になった。


そんな四つ打ち楽曲の中でも最もインパクトを残したのが未発表曲のSkrillex & Tainy & Young Miko「Apaga La Luz」だろう。ラテン・シーンの天才プロデューサーTainyと、人気急上昇中のラテン系ラッパーYoung Mikoとのコラボ曲は往年のエレクトロ・ハウスのケレン味あるシンセリフに、Young Mikoのラップとストイックなビートが融合したまさにハイブリッド・ラテン・テクノともいうべき1曲。ここでもSkrillexの未来的なダンストラックを作り続ける先見性と才能に驚かされた。


他の曲のリフを瞬間的に差し込み、グルーヴを崩さず息つく暇もないほどのエネルギッシュなプレイを展開させていく中、中盤のハイライトとなったのは往年の代表曲だった。AHADADREAM、Priya Raguとの「TAKA (PEEKABOO Remix)」からAvicii名曲「Levels (Skrillex Remix)」を投下。観客の大歓声が響いたと思えば次の瞬間にはRick Rossとの「Purple Lamborghini」のドロップに展開。立て続けにJack Ü、Justin Bieber「Where Are Ü Now」やEllie Gouldingとの「Summit」をプレイ。特に「Summit」はBad BunnyやRihannaのアカペラ、Porter Robinson「Flicker」をマッシュアップし、それまで暗かったフロアが幻想的な紫のライトで包み込まれその美しい光景に目が釘付けになった。



大きな緩急でさらにアリーナを掌握したまま、Swae Leeとの「Too Bizarre (Juked)」、そこから「Fuji Opener (Inquisitive & Y3llO Remix)」でBPM200超えのサイケビートを展開し驚きを与えた。とにかく休むことなく走り続けるスタイルでラストにかけてハード・グルーヴ〜ドラムンベースへと疾走感を加速させる。


Imogen Heap「Hide & Seek (Bou Remix)」からNoisia、Josh Pan、Dylan Brady「Supersonic (My Existence)」を経て終盤はハウスパートへ。シンガーのNaishaをブースに呼び込んでプレイした新曲Champion、Four Tet、Naishaとの「Talk To Me」、Fred again..、 Four Tet ft. Lil Baby「Baby Again」とここ数年の新たなSkrillexと、「Bangarang」「Chicken Soup」JOYRYDEとの「Agen Wida」の過去の彼を重ね合わせていく。ラストは「Leave Me Like This」「RATATA」で100分にも及ぶロングセットを終えた。

Photo by masanori naruse


DAY1のクロージング・アクトとして新旧のヒット曲を織り交ぜながらアリーナを扇動。現場でしか聴けない多くのマッシュアップやIDで身体が震えるような重低音、高揚感を高めるレーザー演出で、これ以上ないエネルギーで圧巻のプレイを見せつけてくれたSkrillex。今年は新しいプロジェクトの始動も匂わせ、さらに大きな注目を集めるであろう彼の動きから目が離せない。