Kygo ⓒJohannes Lovund
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Kygo来日公演レポート:数々の名曲と圧倒的演出で魅せた奇跡の一夜

最新曲から初期名曲まで。ダンスミュージックのダイナミックさとシーンを超えた才能を発揮してきたプロデューサーとしての世界観が生み出したドラマティックな単独公演

ノルウェー出身のプロデューサー/DJのKygoが、3/1(土)にららアリーナ東京ベイにて単独では約7年ぶりとなる来日公演を果たした。


2024年1月にShakira名曲「Whenever, Wherever」をサンプリングした「Whatever feat. Ava Max」が、同年6月にリリースされたセルフタイトルアルバム『Kygo』が大ヒットを記録しての待望の来日だ。2024年9月から行われているワールドツアーの一環として、この日はシンガーのVictoria Nadine、カナダのプロデューサー/DJ Frank Walkerをオープニングアクトに迎え、本人の登場前から会場は大きな盛り上がりを見せていた。

20時を迎え、会場が暗転するとスクリーンに全身白の衣装に身を包んだKygoが映し出される。大きな歓声が上がる中ファンにハイタッチをしながらステージ・センターに置かれたピアノへ。

Kygo ⓒJohannes Lovund


イントロを経て演奏されたのは「Whatever」だ。1曲目から大ヒット曲が演奏されたとあって、スタンド最上階まで埋め尽くされた満員の観客は総立ちとなった。「東京、調子はどう?」「みんなで歌って!」の掛け声と共にアリーナに響き渡る大合唱。ブルーを基調としたライティングに炎の演出、リアルタイムでキーボードを演奏するKygoが映し出される。


続けざまにゲストシンガーのZak Abelが登場しコラボ曲「For Life」を歌い上げる。時折り観客に手を振りながら「みんなジャンプできる?」と愛嬌たっぷりの煽りでアリーナが揺れる。スタートから会場の興奮は最高潮に。


一転「Me Before You」ではピアノのオーガニックで優しい音に会場全体が静かに包み込まれる。アリーナ中に広がっていく美しい音、その音色に吸い込まれるような空気。他のダンスミュージック・アクトではなかなか味わえない静と動を極めた、彼だからこそ成しえる緩急を付けた演出が秀逸だ。

Kygo ⓒJohannes Lovund


そして故Aviciiに捧げるマイクと共にプレイされたのが「Forever Yours (Tribute)」。しかしここで終わらずAviciiの代表曲「Levels」へと繋げ、会場は再び熱狂の渦に。Kygoがダンスミュージックにのめり込むキッカケとなり、個人としても親交のあった敬愛するAviciiへの感動的なトリビュートとなった。ファーストアルバムからとなる「Stay」もAlesso, Sentinelの「Only You」とマッシュアップし、Sandoro Cavazzaとの「Hold On Me」へと続けるなど初期楽曲〜新曲をシームレスに聴かせていく。


「Stargazing」ではKygoのコラボレーターでもあり、彼のライブには欠かせない存在となったシンガーのJustin Jessoが登場。この曲で最前列の「ステージに上げて」という看板を掲げた3人のファンをJessoがステージに上げ、Kygo本人のピアノの演奏と共に同曲を歌わせるサービス精神に溢れたパフォーマンスで会場は大いに沸いた。


代表曲であるSelena Gomezとの「It Ain’t Me」で再びKygoがシンガロングを呼びかけ会場は一つに。歌いあげる観客達が巨大スクリーンに映し出される様子で、アリーナ全体が多幸感に包まれているのが手に取るように確認出来る。


最新曲となるOneRepublicとの「Chasing Paradise」、ギターイントロで歓声が沸いた「Happy Now」など、Kygoの楽曲は一緒に歌えるものが多く、ダンスミュージックとしてのみならずポップスとして非常にクオリティの高い楽曲を生み出しているのを改めて感じた。「Kids In Love」ではカラフルな照明に紙吹雪が舞う華やかな演出で、観客の記憶に残るライブの思い出を一つ一つ彩っていく。

ライブ全体の折り返し。Kygoの今に至るキャリアのキッカケとも言えるトロピカル・ハウスの傑作Marvin Gaye「Sexual Healing (Kygo Remix)」では、グッズにも登場した巨大パンダがスクリーンを飛び越えて登場。竹をスティックに見立てあの印象的なメロディをリアルタイムで奏でる。昨今のEDMシーンで大きなトピックにもなっているAnymaを筆頭としたオーディオ・ビジュアルショーを彼らしい解釈で取り入れたユニークな演出だ。


そしてDNCEとの「Dancing Feet」でディスコ・タイムに。会場をダンスフロアに彩ったまま楽曲はABBAの名曲「Gimme! Gimme! Gimme! 」、Donna Summerとのコラボ「Hot Stuff」で一気にテンションを上げ、Victoria Nadineをステージに招き入れ未発表となるコラボ曲「Can’t Get Enough」をサプライズで披露。この日会場に訪れた観客達への嬉しいプレゼントとなった。

Kygo ⓒKyle Houck


「Louder」では暗転し、薔薇が映し出された印象的なVJにステージにはバイオリンを筆頭とするストリングス隊が登場し、Kygoのピアノとの美しいセッションが響き渡る。OneRepublicとの「Lose Somebody」、「Freedom」では再びZak Abelが登場。



ここでは急遽ゲストシンガー仲間のJustin JessoとParson Jamesがステージに登場し「実は今日はZakの誕生日なんだ。みんなで祝ってくれ」と会場全体でハッピーバースデーを歌いアットホームな雰囲気に満たされたアリーナがとても印象的だった。


ライブ終盤からテンションは一気に駆け上がる。Gryffinとの「Woke Up in Love」で歓声が上がったかと思うとEDMクラシック・ヒットAlesso、OneRepublic「If I Lose Myself」へとマッシュアップされ、「Remind Me to Forget」ではBenny Benassiのフロア・クラシック「Satisfaction」で会場の熱量がマックスに。


そして最新アルバムの中でも最もフロアライクなHaylaとの「Without You」では、レーザー演出と共にダンスフロアと化した会場はピークタイムを迎えた。


Parson Jamesがステージに登場し力強く歌い上げる名曲「Stole The Show」も、原曲に忠実な展開からフロア・クラシックの「Calabria」にマッシュアップされテンポを大きく上げたバージョンでアリーナ全体を揺らす。


ライブ本編ラストとなる「Fragile」では、Justin Jessoとストリングス隊の流麗なコラボレーションを披露。聴かせるところはしっかり聴かせつつ、彼のライブを初めて体験する人にも分かりやすい形で馴染みのクラブヒットを折り混ぜるスタイルはさすが世界を代表するスーパープロデューサーと言ったところだろう。

Kygo ⓒJohannes Lovund


アンコールはKygoの初期名曲「Firestone」をピアノでスタート。歌い上げるJustin Jessoのヴォーカルと湧き上がる火柱の演出と共に再びアリーナに火を点ける。そしてWhitney Houstonが1990年に日本限定でリリースした「Higher Love」のリメイクで日本のファンとの強い結び付きを再確認させてくれた。


フィナーレは「自分の作品の中でも特に気に入っている曲で、みんなの前で演奏出来ることを特別に思うよ」と語り演奏された「Freeze」。ストリングス隊に加えマーチング・ドラム隊を加えたラストに相応しい豪華なアレンジと紙吹雪の感動的な演出で約2時間に及ぶライブは幕を閉じた。



最新曲のみならず、初期名曲も含むこれまでのヒットを網羅し、ゲストシンガー、ストリングス隊を含めた出し惜しみのない豪華な演出。ダンスミュージックの持つダイナミックさと、そのシーンを超えた才能を発揮してきたプロデューサーとしての繊細で流麗な世界観が見事にマッチしたライブだった。また終始歌い上げるファンの姿を見て、改めて世代や時代を超えて彼の楽曲が愛されている事を感じる素晴らしい一夜となった。

text by TJO

Kygo ⓒJohannes Lovund


この日のKygoのセットリスト・プレイリストが現在公開中

▼カイゴ「KYGO WORLD TOUR PART 2」セットリスト
0. Intro
1. Whatever/For Life(with Zak Abel)
2.Me Before You
3. Forever Yours/Levels [Avicii Tribute] 4. Stay/Only You
5. Hold on Me
6. Stargazing(with Justin Jesso)
7. It Ain’t Me
8. Can’t Do It on My Own
9. The Feeling
10. Stars Will Align
11. Chasing Paradise
12. Happy Now
13. Kids in Love [The Him Remix] 14. Sexual Healing
15. Wait
16. Dancing Feet/Gimme! Gimme! Gimme! (A Man After Midnight)/Hot Stuff
17. Can’t Get Enough(with Victoria Nadine)
18. Fade Away(Piano)
19. Louder
20. Lose Somebody(with Zak Abel)
21. Freedom(with Zak Abel)
22. What’s Love Got to Do With It
23. Woke Up in Love/If I Lose Myself
24. Remind Me to Forget/Satisfaction
25. Without You
26. Stole the Show(with Parson James)/Calabria
27. Fragile(with Justin Jesso)
<Encore>
28. Firestone(with Justin Jesso)
29. Higher Love
30. Freeze

【リリース情報】
Kygo | カイゴ
最新アルバム『KYGO | カイゴ』
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