短期間でトレンドが移り変わる中、ミレニアム期のフレンチ・ハウス作品が再びランクインした事実は、「One More Time」が現在のクラブやフェスの現場でもセットに組み込まれている楽曲であることを示している。
「One More Time」は2000年11月、Virgin Recordsからアルバム『Discovery』のリードシングルとして発表。フィルター処理されたグルーヴ、陶酔感のあるコード進行、Romanthonyのオートチューン・ボーカルが組み合わさり、初期アルバム『Homework』の荒削りな感覚と、その後に続く未来的サウンドを結びつける重要な役割を果たした。
1979年のディスコ楽曲「More Spell on You」をサンプリングしながら、独自の構造へと昇華させた点も本作の大きな特徴だ。特に長いブレイクダウンは、Thomas Bangalter自身が“この曲そのもの”と語ったほど象徴的で、ダンスフロアの定型を覆す要素として語り継がれてきた。米音楽誌Rolling Stoneによる「史上最も偉大な楽曲500選」や、Pitchforkの年代別ベストに選出されるなど、文化的マイルストーンとしての評価も確立している。
Daft Punkは1993年にThomas BangalterとGuy-Manuel de Homem-Christoによって結成。ハウス、ファンク、ディスコ、シンセポップを融合させた革新的なサウンドと、象徴的なロボットマスクによるビジュアル戦略で、世界的なムーブメントを築いた。2021年に正式に活動を終了したものの、その影響力はいまなおダンスミュージック・シーン全体に波及し続けている。