NEW RELEASE

Fred again..、Caribou & Floating Pointsとのコラボ2曲を同時リリース、Daft Punkとの歴史的B2Bを経て次章へ

Fred again.., Caribou / Floating Points - Facilita / Ambery

UK出身のプロデューサーFred again..がCaribouとの「Facilita」、そしてFloating Pointsとの「Ambery」を2曲同時にリリースした。



本作は「10 songs, 10 shows, 10 cities, 10 weeks」を掲げ、12月に発表予定の最新アルバム兼拡張型プロジェクト『USB002』の第4章として公開された。世界を巡るライブと連動し、音楽活動そのものを“旅する物語”のように描く企画の一環だ。

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「Facilita」は、今年リリースされたMC Charada、Menor Teteu、DJ Nandoによる「Facilita Bebê」をサンプリング。ポルトガル語のフックが印象的な熱量の高いトラックに仕上がっている。ファンキーカリオカやアフロ・ハウス由来の土着的で生々しいリズムのうねりと、プリミティブな力強さを帯びたビートに、Caribouの浮遊感あるサウンド、そしてFredの不穏でミニマルな構成が重なり、ラテンの熱とUK的なクールさが鮮やかに交差している。




一方の「Ambery」は、Floating Pointsのテクノ作品を想起させるアンビエントやIDMの要素を取り込みながらも独自の方向性を示す。2019年のBaglaens「Lowly」のヴォーカルをサンプリングし、重なり合うシンセがジャズの即興演奏のように絡み合う。7分超えの大作は、リスナーを深く音の中へと引き込み、クラブ・ミュージックの枠を超えた没入体験を生み出している。Fredが掲げる“感情そのものを音にする”というテーマを鮮明に体現した楽曲だ。





この2曲は、プロジェクト第4週の舞台となったフランス・リヨンのHalle Tony Garnierで披露され、Caribou、Floating Pointsとの共演がその夜を彩った。さらにこの公演はApple Musicでもライブ配信され、USB002が持つ「現場と世界をリアルタイムで結ぶ」体験を象徴する一幕となった。



その直前、10月22日にはロンドンのNTS Radioで特別番組「Drumless Special」が放送され、3人は2時間にわたりアンビエント、フォーク、ドローン、ジャズといったビートレスな楽曲を展開。普段のクラブセットとは正反対のアプローチで、「リズムがなくても音楽で人をつなげられるか」という挑戦的な試みを形にした。




そしてリヨン公演の翌日には、パリで歴史的瞬間が訪れる。Because Musicの20周年イベント「Because Beaubourg」のクロージングに、Daft PunkのThomas Bangalterが突如登場。Fred、Pedro Winter(Busy P)、Erol Alkanと共に16年ぶりのDJセットを披露した。Daft Punkの「Rollin’ & Scratchin’」、DJ Mehdiの「Signatune (Thomas Bangalter Edit)」などのクラシックに加え、Fred again..「Billie (Loving Arms)」とDaft Punk「Digital Love」を掛け合わせたマッシュアップは大きなハイライトとなり、SNSを通じて世界中のダンスミュージック・ファンを熱狂させた。Bangalterはエレベーターの中で「初めてエレクトロニック・ミュージックに恋をしたのは1992年、この建物の中だった」と語り、さらに「マスクを外して本格的なセットをするのは24年ぶり」と明かしていたという。会場となったポンピドゥー・センターはこの夜を最後に5年間閉館することが決まっており、歴史的な意味合いを持った公演となった。


さらに今週は、アルゼンチンのCA7RIEL & Paco Amoroso(カトリエル&パコ・アモロソ)のフランス公演に合わせてコラボ配信も実施。すでに現場で披露されている「Beto’s Horns」をフランスでも披露し、2人が観客の真ん中に飛び込み、地元のファンと共に歌い踊るパフォーマンスで新曲を印象付けた。




Fredの物語は止まらない。今週末の第5章の舞台はダブリンだ。前日にはThe Button Factoryでウォームアップショーを行い、2021年に初めてアイルランドでプレイした思い出の地でファンとの再会を果たす予定となっている。チケットはすでに完売し、当日はダブリン在住のファンにランダムで配布される仕組みを採用するなど、地域に根ざした工夫も話題を呼んでいる。さらに今週は、KETTAMAとShady Nastyとの共作「Hardstyle」、そしてUKガラージの注目株Samm VirjiとReggie Bとのコラボ曲という2つの新曲がリリースされる予定だ。両曲とも既にスタジオ・セッションの様子や現場での断片が公開されており、待望の正式リリースに向けてファンの期待は最高潮に達している。



『USB002』は、CaribouやFloating Pointsといった同時代の先鋭、そしてThomas Bangalterのような伝説的存在までも巻き込みながら、2025年のダンスミュージックに新たなページを刻み続けている。

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