「Club Weapon」はタイトル通りのフロア仕様。Louis The ChildとStressheadが参加し、スピード・ガラージとハウスの疾走感に大胆なトラップ的アレンジを織り交ぜたクラブトラックに仕上がった。彼自身も「Louis The Childは自分のヒーロー」と語っており、特別な思い入れを持つ一曲だ。
ラストを飾る「Start To Slip」は、DEEGANの情緒的なトップラインを丁寧に支えるサウンドデザイン。2ステップやUKガラージュの要素に、自身のルーツであるトランスの疾走感を取り込み、心の霧が晴れていく瞬間を音で描き出す。DEEGANのヴォーカルとシンセのうねりが、EP全体を力強く締めくくる。
全5曲・約15分というコンパクトな構成ながら、本作はDaniel Allanの制作姿勢を端的に示している。ケンタッキーで音楽に没頭していた高校時代を手がかりに、直感や衝動を重視して作られた。彼は「制作時間の長さと完成度は比例しない」と語り、その考えが今回の5曲に反映されている。インタビューでは「曲作りやツアーで披露するプロセス自体が“Time Well Spent(よく使われた時間)”だ」と述べ、ジャケットに描かれた白いマスクの少年を“10年前の自分”と紹介。過去を避けず、受け入れる姿勢を作品に込めている。制作基準には常に「16歳の自分ならどう思うか」を据え、リスナーに対しても「自由であっていい」と伝えたいという。また「参加アーティストの多くは友人で、仲間と作ることで音楽はより楽しくなる」ともコメント。結果として『Time Well Spent』は、クラブやフェスだけでなく、ラジオやプレイリストでも機能する汎用性を持ちながら、一貫した個人的な視点に根ざした、キャリアの節目を示す作品となった。