Diplo, Benny Benassi, Nfasis
NEW RELEASE

Diplo 新レーベル始動、Benny Benassiを迎えた進化系ブラジリアン・フォンクを解禁

Diplo, Benny Benassi, Nfasis - TOMA TOMA

Diploが、Benny Benassi、Nfasisという異なる音楽的背景を持つ2人と手を組み、最新コラボ曲「TOMA TOMA」をリリースした。



Major Lazer、Jack Ü、LSDといったユニットでの活動やグラミー賞受賞歴を持ち、常に“ダンスミュージックのその先”を追求し続けるDiplo。そしてエレクトロ・クラシックの金字塔「Satisfaction」で知られるイタリアの重鎮Benny Benassi。そこに、ドミニカ共和国を代表するラッパー/シンガーであり、ドミニカ共和国を中心にラテンアメリカ全域で人気のあるダンス音楽ジャンルDembow (デンボウ)をグローバルに押し上げたNfasisが加わった今作は、バウンシーなパーカッション、歪んだビート、アッパーなフロウが絡み合う“新世代的パーティーチューン”に仕上がっている。


この楽曲は、先月リリースされたUKシンガーArtemasとの「BRAIN」に続く“Phonk (フォンク)”路線の1曲で、特に#Brazilian Phonk (ブラジリアン・フォンク)#の要素が色濃く取り入れられているのが最大の特徴だ。



Phonkとは、90年代のメンフィス・ラップに端を発するアメリカ南部発祥のヒップホップ・スタイルで、ダークかつローファイ、ヴィンテージ感のあるサウンドが特徴。近年では、そこに現代のトラップやカー・カルチャー的ビートが加わり、“Drift Phonk”と呼ばれるサブジャンルとしてヨーロッパやロシアを中心に再解釈・進化してきた。


そしてBrazilian Phonkは、その“Drift Phonk”にブラジルの”Baile Funk (バイリファンク)”的リズムを掛け合わせる形で、2020年頃からサンパウロやリオの若手プロデューサーたちの間で産まれたもの。現在ではTikTokなどを通じて世界的にバズを起こしており、今作のサウンドも、まさにその流れを踏襲している。Diploはキャリア初期から南米音楽に深く関わってきた人物であり、Baile Funkの世界的再評価にも寄与した存在。そんな彼が再びそのルーツに立ち返り、Brazilian Phonkと向き合ったという点においても、「TOMA TOMA」は意義深いリリースと言えるだろう。


実際、DiploはこのPhonkムーブメントに本腰を入れており、Mad Decent傘下に新レーベル『d00mscrvll』を設立。リリースに際してこう語っている:

「(新レーベル)『d00mscrvll』を紹介しよう。僕は南部の産物だ。ミシシッピ、テネシー、フロリダを行き来しながら育ち、ヒップホップに夢中になった。もしThree 6 Mafia、メンフィスや中西部のヒップホップがなかったら、音楽にハマることもなかっただろう。今、メンフィス・サウンドの影響力がこれほどまでに続き、それがフォンクという完全にカオスでポストモダンなジャンルへと変貌を遂げたのを目の当たりにできることに感動している。フォンクは、言うなれば「メンフィス・サウンドが渦に巻き込まれ、虹色に塗られ、スクリュー&チョップされて、分解され、さらに再構築されて、SNSのフィードをジャックするような映像にまで落とし込まれた」ものなんだ。それがブラジル・フォンクであれ、メンフィス・フォンクであれ、フォンク・ハウスであれ、あまりに多様でジャンル分けなんてもう意味を成さないし、誰もルールなんか作ってない。そこが僕がこの音楽を愛してやまない理由だよ。完全なる無法地帯。もし君が“終末世界の荒野”に足を踏み入れてハイキングをしたいなら、これこそが聴くべき音楽だ。そして今、たくさんの新しい仲間たちとこの音楽を作れて嬉しい。」


一方、Nfasisもこの国際的なコラボに手応えを感じている。

「我々のサウンドは国境を越えて、どんなリズムにも適応できる力を持っている。このコラボによって、私は国際的なデンボウの旗手としての地位を強めることができたし、ドミニカの他のアーティストにとっても、EDMやエレクトロシーンとの橋渡しになるはずだ。」

またDiploは、PhonkというジャンルのSNSにおける起源にも理解を示し、「BRAIN」や本作「TOMA TOMA」には、BPMを遅くしたスロウダウン(SLOWED)とスピードアップ版(SPED UP)などのバージョンも収録。SNSにおける拡張性を狙った設計も行なっている。加えて、『d00mscrvll』のInstagramでは、スポーツカーのCGとサウンドを融合させたプロモーション映像も公開し、ジャンルルーツへのリスペクトを視覚面でも示している。


Diploは先日、Major Lazer名義でのパリ公演を大成功のうちに終えたばかり。また、今週末にはカントリーシンガーBailey Zimmermanとの新曲もリリース予定と、多ジャンル横断型の活動は引き続き加速中。今後『d00mscrvll』からどのようなリリースが飛び出すのか、その動向に注目したい。