NEW RELEASE

Sammy Virji & Chris Lake 2025年を象徴する二人のコラボ「925」をFour Tetが再構築

Sammy Virji, Chris Lake - 925 (Four Tet Remix)

Sammy VirjiとChris Lakeによるコラボレーション楽曲「925」のFour Tetによるリミックスがリリースされた。



本作は、Sammy Virjiのアルバム『Same Day Cleaning』の先行シングルとして話題を集めた楽曲の再構築版だ。原曲は、Sammy Virjiらしいスウィング感のあるリズムと、Chris Lakeの無駄を削ぎ落としたグルーヴが噛み合った、現場志向のクラブトラックとしてヒットを記録した。


その楽曲をFour Tetは、彼のシグネチャーとも言える、よりパーカッシヴで有機的なグルーヴ感と空間的なアプローチによって再構築。音の余白を大胆に活かしながら、フロアのサウンドシステムを強く鳴らすヘヴィーなベースを配することで、原曲をさらにフロア仕様へとアップデートしている。


UKガラージとハウスのシーンで今年も大きな活躍を見せたSammy VirjiとChris Lakeにとって、2025年は大きな転換点となる一年だった。Sammy Virjiは今年、UKガラージ・リバイバルの中心人物という評価を超え、世界的なダンスアクトとしての立ち位置を明確にした。クラブシーンで培ってきたグルーヴ感覚を武器に、ヨーロッパ、北米、アジアへと活動の場を拡大。フェスの大舞台においても、ガラージ特有のスウィングを失うことなくフロアを掌握するDJとして高い信頼を獲得していった。


その流れの中でリリースされたアルバム『Same Day Cleaning』は、世界的な評価を獲得。UKガラージを軸にしながらも、ヒップホップ、グライム、ハウスといった要素を自然に取り込み、クラブミュージックでありながらリスニング作品としても成立させている。ダンスミュージックとしての機能性だけでなく、音楽的な奥行きやストーリー性を提示することで、UKガラージを「世界基準のダンスミュージック」として示すことに成功した。


一方のChris Lakeは、キャリア20年以上を誇るベテランでありながら、今もなおシーンの中心で強い存在感を放ち続けているアーティストだ。今年リリースされた、意外にも初となるフル・アルバム『Chemistry』は、その長いキャリアの集大成であると同時に、現在進行形のダンスミュージックを明確に刻み込んだ作品でもある。これまでアルバムという形式にあえて距離を取ってきたChris Lakeだが、本作では「コラボレーションによる化学反応」をテーマに、ヴォーカル楽曲からストイックなクラブトラックまでを一枚の中でまとめ上げた。アルバム全体を通して一貫しているのは、「フロアで機能するかどうか」という明確な基準だった。どの楽曲も派手さに頼ることなく、長時間のDJセットの中で自然に馴染み、踊らせ続けることを前提に作られている。その感覚は、Sammy Virjiとの「925」においてもはっきりと表れている。若手アーティストとのコラボレーションにおいても、自身の色を過剰に押し付けることなく、フロアにとって最適な形を選び続ける。その姿勢こそが、彼が今なお第一線で支持され続ける理由だろう。



そして、この楽曲を次のレベルへと引き上げたFour Tetも、今年はフジロックフェスティバルへの来日が大きな話題となった。屋外の開放的な空間の中で、繊細さとダイナミズムを同時に感じさせるセットを披露し、日本のオーディエンスに強い印象を残している。さらに来年には、東京・豊洲PITにて4時間に及ぶロングセットが予定されている。これはフェス仕様の短いセットとは異なり、アンビエントからミニマル、ハウス、UKベース、さらにはポップな楽曲までを自在に横断しながら、時間をかけてフロアの空気を作り上げていく、彼の本領が発揮される公演と言えるだろう。


世代もバックグラウンドも異なる三者が、それぞれの美学とクラブ的エネルギーを尊重しながら成立させたこのリミックスは、UKガラージ、ハウス、エレクトロニック・ミュージック各ジャンルと共に、来年に向けた彼らそれぞれのさらなる活躍への期待を高めてくれる。