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1,700万再生の急上昇ダンストラック AI模倣疑惑でSpotifyから削除

無名アーティストHAVENのバイラルヒット“I Run”が主要サービスから姿を消し、音楽業界に広がるAI検証強化の動き


Spotifyで1,700万回以上再生され、米国チャートで11位を記録した“I Run”が、AI模倣疑惑によりSpotifyから削除。

AI生成ボーカルを用いた可能性が指摘され、プラットフォームは即時対応を取った。

Spotifyは「アーティストのなりすましは禁止」とコメントしており、同曲の再生によるロイヤリティは一切支払われないこととなった。



“I Run”は10月28日にHAVEN名義でリリースされたが、前歴がほぼないアーティストだったため、SNSでは“本当に誰が歌っているのか”という声が急速に広がった。特にボーカルがUK出身のシンガーソングライターJorja Smithに酷似しているという指摘が拡散し、本人もTikTokで「私じゃない」と否定した。


その後、ロンドン拠点のプロデューサーHarrison WalkerがHAVEN本人であることを名乗り出て、ボーカルは自身の声を加工したものだと説明。SNSでは後頭部のみを映した動画を投稿し、実在する人間であることを発信。


共同プロデューサーにはJacob Donaghue、エンジニアにはMatt Cahillがクレジットされており、Cahillは自身の投稿で、スマートフォンで録音した声をSunoに通した工程について言及している。Sunoは近年議論を呼ぶ生成系AIプラットフォームとして知られる。


今回の件は、ストリーミング各社がAI生成音声への監視をさらに強めていることを示す象徴的な事例となった。AIツールが高度化する一方、Spotifyは権利者の許可なく実在アーティストの声を模倣した合成ボーカルを禁止しており、Apple Musicでも同曲は削除されている。

楽曲が再配信されるかは依然不透明だが、Walkerはチームが復旧に向け動いていると発信。現時点で“I Run”はYouTube、Soundcloudで視聴可能となっている。