NEW RELEASE

Fred again..、Skin On Skinと「オリジナル無し」の2リミックスを発表ーApple Music史上初のツアー生配信も決定

Fred again.., Skin On Skin, BEAM - the floor (fred remix) / (skin on skin remix)

Fred again.. が Skin On Skin と共に手がけた新曲「the floor」がリリースされた。



本作は2つのリミックスで構成されており、自身による「the floor (fred remix)」と、Skin On Skinによる「the floor (skin on skin remix)」の2バージョンが同時公開。いずれもBEAMをフィーチャーし、“オリジナルは存在せず最初から2リミックスで出す”という実験的な枠組みを採用している。

Fred版はフロア即応型の楽曲として構築されており、本人がSNSで「UK Funkyのリズムのグルーヴを組み合わせた感じ」と語る通り、疾走感ある跳ねるビートが印象的だ。さらに「よりテクノっぽい低音の世界観が混じっている」と述べるように、硬質なベースが重心を支えている。スケールはエキゾチックで緊張感のあるフリジアンモードを採用。完全5度のマイナー進行によって持続的な緊張を生み、独特のハーモニー感を作り出している。また「自分自身を食べようとしているようなシンセ」に「お気に入りの303を6種類ブレンドした低域処理」を施すなど、サウンドデザイン面でも実験性が際立つ。特に後半で轟音を上げるベースシンセへの切り替えは、フロアの歓声を想起させるほどの強烈な展開だ。


対するSkin On Skin版は、よりアグレッシブな仕様へとチューニングされている。ボーカルを長3度でリハーモナイズし、Fred曰く「安定した解決感、帰る場所のような感覚を与えてくれる」サウンドに仕上げた。エレクトロニックなシンセが高揚感を保ちつつ、疾走感をメインに安定させている点も特徴的だ。同一素材から対極の情感を引き出す設計が、2曲を単なるリミックスでもコラボでもない“音による対話”へと押し上げている。

Skin On Skin Remixは投稿の2枚目で確認できる。


今作に参加しているBEAMは、ジャマイカ系アメリカ人アーティスト。ダンスホールとトラップを融合させた独自のスタイルで知られ、Major Lazer や Justin Bieber との共作、さらに Skrillex のアルバム『Don’t Get Too Close』収録曲「Selecta」への参加でも注目を集めた。

Fred again.. の作品においても、「Selecta」での彼の声が Skrillex との「Rumble」でサンプリングされており、さらに「palce to be」でもそのボーカルを聴くことができる。正式なコラボレーションとしては前作「OGdub」が初であり、本作で2作連続の起用となった。なお、本作には Skrillex の名前もクレジットされており、〈Fredファミリー〉の結束の強さを改めて感じさせる。



このリリースは、「10 songs, 10 shows, 10 cities, 10 weeks」を掲げ、12月に発表予定の最新アルバム兼拡張型プロジェクト『USB002』の一環として位置づけられている。Fred again.. が2022年に始動させたUSBシリーズは、2024年にヴァイナルとしてリリースされた『USB001』で第1章を締めくくり、現在は第2章へと突入。Amyl and the Sniffersとの第1弾シングル「you’re a star」、Danny Brownのボーカルをサンプリングし、BEAMとPARISIが参加した第2弾「OGdub」に続き、第3弾として今回の「the floor」が公開された。

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USB002のライブ公演はここまで3週連続で開催されている。初回は「you’re a star」に合わせて英国グラスゴーで実施。日本から¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$U(Yousuke Yukimatsu)と盟友 HAAiが出演し、Boris Acketによる天井を覆うインスタレーションが音と光を融合させた没入型のステージを演出した。

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第2週はブリュッセルで開催。地元のKOMA、LAURAVIOLI、DC Noises、SHOPLIFTERを招き、Fred はKOMA主宰のGIMIC Radioにサプライズ出演。現地コミュニティと強い結びつきを見せた。また、公演で撮影された写真が翌日にそのまま新曲のジャケットとして公開されるなど、「ライブと作品がリアルタイムに連動する」というUSB002のコンセプトを象徴するアイデアも話題を呼んだ。

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そして第3回となるマドリード公演では、Skin On Skin、DREA、Toccororoが参加。クラブ、インスタレーション、未発表曲の試演が融合したステージが繰り広げられ、現地メディアからは「即興性と親密さを保った大規模レイヴ」と称賛された。



この勢いはとどまるところを知らない。第4週となる今週は、フランス・リヨンでの開催が発表され、Fredは「ヨーロッパ本土での最後のショーになる」と語っている。ゲストには Floating PointsとCaribouが登場し、両者とのコラボ新曲2曲が同時にリリースされる予定だ。


さらに、この公演はApple Music によってライブ配信される。今後もFred again..の複数公演がリアルタイムで配信される予定で、同プラットフォームがアーティストのツアー複数公演を連続して生配信するのは史上初の試みとなる。配信後には各公演が空間オーディオ(Spatial Audio)対応のライブ音源としてアーカイブされ、後からも立体的で臨場感あふれるサウンドで楽しむことができると発表されている。


今週からは新たに「生配信」の要素が加わり、毎週のようにサプライズや新たな試みを取り入れながら、常に進化を続ける Fred again..。ヨーロッパ本土以外で次にどの地を舞台にライブを行うのか、ファンの関心は高まる一方だ。リアルタイムで展開を重ねる『USB002』プロジェクトから、今後も目が離せない。