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NEW RELEASE

新世代レイヴ・アイコンKETTAMA、爆発力と実験性が交錯するデビューアルバム解説

KETTAMA - 『Archangel』

アイルランド発・アンダーグラウンドを牽引する新世代のプロデューサーKETTAMAが、待望のデビューアルバム『Archangel』をリリースした。90年代レイヴの熱狂、ハードハウスの推進力、トランスの高揚感、ブレイクビーツの衝動といった音楽的ルーツを一枚に凝縮し、ここ数年の飛躍を決定づける全15曲を収録している。


KETTAMAは、独自のエモーショナルなレイヴ感覚で、近年急速に新世代アンダーグラウンド・シーンを席巻してきたDJ/プロデューサーだ。2023年にはUnderworldとのコラボレーションに抜擢され、さらにFred again..やInterplanetary Criminalとの共作も話題となり、一躍シーンのキープレイヤーへと躍り出た。 今年はCoachella、Glastonburyといった大型フェスにも次々と出演し、その存在感を拡大している。


■ KETTAMA ライブセット


アルバムはタイトル曲「Archangel」で幕を開ける。ピアノの旋律が空間に漂い、アンビエントな浮遊感からシンセが重層的に積み上がり、作品世界への導入を鮮やかに描く。
続く「Split in Two Minds」は、ラッパーseantommyを迎え、ダークでアグレッシブなサウンドへシフト。沈み込むようなシンセの質感が、閉塞感と緊張を描き出す。
「Yosemite」では、UKガラージの新鋭Interplanetary Criminalと共演。Reflektの名曲「Need To Feel Loved」(2004年)をサンプリングし、ハードハウス、スピードガラージ、トランスを交差させた設計で、KETTAMAをシーン最前線へ押し上げた象徴的ナンバーとなった。

■ KETTAMA & Interplanetary Criminal – Yosemite


■ Reflekt – Need To Feel Loved

そしてアルバムの中心に据えられるのが「Man With A Second Face」。2025年夏フェスを席巻したアンセムで、歪んだヴォーカルと反響するシンセが幾重にも折り重なり、ブレイクダウンでは破壊的な爆発を見せつける。

■ KETTAMA – Man With a Second Face


コラボレーションもアルバムを一層引き立てる。DJ HEARTSTRINGとの「If U Want My Heart」はトランス色の強いピークタイム・バンガーに仕上がり、Fred again..との「Airmaxes」はアンビエントの質感とエモーショナルなコード進行を融合させた意外性のある一曲だ。さらにセルフリミックスの「Airmaxes (KETTAMA Mix)」ではブレイクビーツを駆使したベースヘビーな仕様へと変貌し、別の顔を見せている。

■ Fred again.., KETTAMA, Shady Nasty – Air Maxes に関する記事はこちら



アルバム後半には、ウェアハウスやクラブの地下空間を直撃するハードなナンバーが並ぶ。Cloudsとの共作「Sort It Out」はインダストリアルなエッジと荒々しい爆発力を備え、アルバムを勢いそのままに駆け抜けて締めくくるクロージングトラックだ。

10年の歳月をかけ完成した『Archangel』は、KETTAMAの真価を示す決定的な作品だ。ハードハウスやブレイクビーツの衝動的なエネルギーと、ピアノやアンビエントを用いた陰影のあるパートが交互に現れる構成は、まさにKETTAMAらしいスタイル。アルバム全体は緊張と解放を繰り返し、衝動と内省を行き来しながら、最後にはダンスフロアを直撃する解放感へと収束する。そのダイナミックな流れはクラブカルチャーへのオマージュであり、同時にKETTAMAを育んだアイルランド・アンダーグラウンドへの深い敬意でもある。

リリースに際し、KETTAMAは次のようにコメントしている。
「僕のデビューアルバムが今日リリースされた。こうして言えるなんて本当に信じられない気分だ。この瞬間を迎えられたのは、これまで支えてくれたみんなのおかげ。正直、自分の18歳の誕生日みたいな感覚だ。この旅路を一緒に歩んでくれてありがとう。」


KETTAMAは本作を携え、ヨーロッパ、北米、オーストラリアを巡る大規模なワールドツアーの開催も決定している。彼の快進撃はさらに加速しそうだ。