第68回グラミー賞にて、アルバム『Eusexua』が最優秀ダンス/エレクトロニック・アルバム賞を受賞したFKA Twigs。
2025年1月にリリースされた本作は高い評価を獲得し、現在の音楽シーンにおいて存在感を一段と強めているUK出身アーティスト。
さらに、昨日発表されたSUMMER SONICのラインナップにも名を連ね、国内での注目度も急速に高まっている。
ダンス/エレクトロニック、R&B、アヴァンギャルドといった要素を横断してきた彼女が、日本の大型フェスのステージでどのような表現を見せるのかも注目点のひとつとなっている。

本記事では、FKA Twigsのキャリアを振り返りながら、グラミー受賞作『Eusexua』に至るまでの歩みと、音楽表現のスタイルを整理していく。
■ ダンサーから音楽表現へ ─ FKA twigsとは?

FKA twigs Official Photo
FKA twigsことTahliah Debrett Barnettは、1988年1月16日生まれのイングランド出身アーティスト。シンガー/ソングライター/プロデューサーとして活動しながら、バックダンサーとしてのキャリアを起点に表現領域を広げてきた。
音楽活動以前はバックダンサーとして経験を積み、10代後半から楽曲制作を開始。2012年に自主制作EP『EP1』を発表し、音楽活動を本格化させた。
2014年には初のフルアルバム『LP1』をリリース。マーキュリー賞やグラミー賞にノミネートされるなど、キャリア初期から高い批評的評価を獲得し、現代アート・ポップを象徴する存在としての地位を確立。
2015年のEP『M3LL155X』では、音楽と映像、身体表現を強く結びつけたアプローチを推し進め、自身のアイデンティティや女性性をより明確に提示した。
■ ジャンルを横断する現在の音楽スタイル ─ 『Eusexua』へ至る表現の深化
『M3LL155X』以降、約4年間の活動休止を経て2019年に発表されたアルバム『Magdalene』で復帰。内省的なテーマと実験的なサウンドを軸に、表現のレンジを拡張。
その後Atlantic Recordsと契約し、2022年にミックステープ『Caprisongs』をリリース。これまでの内省的な作風から一転し、ダンスホールやアフロビーツを取り入れた軽やかで開かれたサウンドを提示し、新たなフェーズへの移行を印象づけた。
2025年にはアルバム『Eusexua』および『Eusexua Afterglow』を発表。エレクトロニック、トリップホップ、R&B、アヴァンギャルドといった要素を横断しながら、起点となるダンスと密接に結びついた表現を一貫して提示している。
この『Eusexua』が第68回グラミー賞<最優秀ダンス/エレクトロニック・アルバム賞>を受賞。ダンス/エレクトロニックという枠に収まりきらない作品性と、アルバムとしての完成度が評価された結果となった。
■グラミー受賞作『Eusexua』の魅力とは?
本作の世界観は、先行公開された短編映像「Have You Experienced Eusexua?」によって示唆された。Yaz XL、Skin(Skunk Anansie)、Amelia Gray ら、音楽・ファッション・アートの文脈を横断する人物が登場し、『Eusexua』が音楽作品にとどまらない総合的なプロジェクトであることを強く印象づけている。
続いて公開されたタイトル曲「Eusexua」は、本作のコンセプトを象徴する重要な楽曲だ。約8分にわたるミュージックビデオでは、群舞を軸に身体の動きと音楽が密接に結びつけられ、FKA Twigsが本作で描こうとする思想や美学を視覚的にも明確に提示している。
アルバムからはそのほかにも、「Perfect Stranger」「Drums of Death」「Childlike Things」がシングルとして発表された。「Perfect Stranger」は、緊張感を孕んだエレクトロニックサウンドと抑制の効いたボーカルが交差し、親密さと距離感がせめぎ合う関係性を描いた楽曲として位置づけられている。
一方「Drums of Death」は、中毒性のある分厚いビートを軸に、FKA Twigsの妖艶なボーカルが重なり合うダークなトラック。ダンスフロアでの没入感を強く想起させる構成となっている。
また「Childlike Things」には、Kanye West(Ye)の長女であるNorth Westが客演として参加。日本語によるラップを披露し、軽快なエレクトロニック・ビートとポップな感覚を持ち込むことで、アルバムの中でも異彩を放つ一曲に。
『Eusexua』は、FKA Twigsが築いてきた表現を現在形で提示した作品であり、そのコンセプトの一貫性が評価された。SUMMER SONICのステージで、その世界観がどのように立体化されるのかにも注目が集まっている。