Photo by Fatboy Slim’s Facebook
NEW RELEASE

Fatboy Slim × The Rolling Stones、25年越しの“秘蔵マッシュアップ”ついに正式リリース

Fatboy Slim & The Rolling Stones - Satisfaction Skank

Fatboy Slim(ファットボーイ・スリム)のDJキャリアを象徴する“秘蔵マッシュアップ”が、四半世紀の時を経て正式リリースされた。自身の大ヒット「The Rockafeller Skank」に、The Rolling Stones(ローリング・ストーンズ)の名曲「(I Can’t Get No) Satisfaction」を大胆に差し込んだ「Satisfaction Skank」が、ついに公式リリースとなった。


Fatboy SlimことNorman Cookは、90年代後半のビッグビート・ムーブメントを世界規模へ押し上げた中心人物だ。「The Rockafeller Skank」「Right Here, Right Now」「Eat Sleep Rave Repeat」などのヒット曲で知られ、ロック、ファンク、ソウルなど多彩なサンプルを自在に操り、強靭なブレイクビーツでフロアを瞬時に爆発させる手腕は圧倒的。62歳となった現在も第一線で活躍し、2025年はキャリアで最も忙しい一年だったと語っている。年間115本のライブを完走し、初の著書『It Ain’t Over… ’Til the Fatboy Sings』も刊行。40年にわたる軌跡を自らの言葉でまとめ上げた。


「Satisfaction Skank」が生まれたのは1999年。「The Rockafeller Skank」を毎公演でプレイし続けるうちに“飽きてしまった”ことが発端で、「Satisfaction」のギターリフを差し込んだ瞬間、思いがけないグルーヴが立ち上がった。以来、この曲は長年にわたってDJセットのハイライトを担ってきた。



しかし正式リリースまでの道のりは険しかった。サンプル許諾を求める交渉は何度も行われたが、ストーンズ側の返答は常に“NO”。ミック・ジャガー本人はこのマッシュアップを気に入っていたものの、マネジメントの判断で許可は下りなかった。さらに、Fatboy Slimが「Sympathy For The Devil」のリミックスを依頼された際、B面に「Satisfaction Skank」を収録したいと申し出たが、これも拒否されたという。
クックは当時を振り返り、「20年間ずっと“NO”だった。4回は頼んだかな。もう自分からは絶対に頼めないと思っていたよ」と語っている。


ところが今回は、ストーンズ側から突然“GOサイン”が届いた。1965年のオリジナル・ステムまで提供され、当時の素材を基に再構築できる環境が整ったのである。キース・リチャーズの不朽のギターリフに、跳ねるビートと切り刻まれたボーカルサンプルが絡む構造は当時のまま。ステムとAI処理によって音の分離とクリアさが引き上げられ、90年代レイヴの象徴的エネルギーを損なうことなく、より鮮明な形で再現されている。

■ MVも同時公開された

先日、Fatboy Slimはミュージシャンとしての活動40周年を迎え、「1985年11月23日、レコードショップRounder Recordsの仕事を辞め、プロのミュージシャンになった。あれから40年間、大好きな仕事を続けられたことは名誉であり、喜びだ。本当に感謝しているし、誇りに思っている」とコメントを発表。


現在62歳となった彼だが、引退する気配はまったくない。2026年1月にはインドネシア、タイでのギグが予定され、2月以降にはUKの大規模ツアーを控えている。「ロックダウン中に“引退生活”を垣間見たけど、あのランチとゴルフの空虚な日々には全く興味がない。だから僕は倒れるまで働くよ」と語り、今なおダンスミュージック界の最前線で輝き続けている。