「もし、あなたが見つけた“次の名曲”に投資できるとしたら?」

そんな未来を現実に変えようとしているのが Coop Records だ。アーティストは即座に収益を得られ、ファンは楽曲を“所有”する喜びと、その成長を共に味わえる。音楽とテクノロジーの融合が生み出す新しいエコシステム。その中心にいるのがCooper Turleyである。
Web3やNFTといった仕組みを駆使し、アーティストとファンを直接つなぐ革新的なレーベルを立ち上げた彼は、わずか数年で800曲以上をリリースし、200組を超えるアーティストを迎え入れ、約13万人ものコレクターを抱えるコミュニティを築き上げてきた。今やその存在感は、世界の音楽シーンに強く刻まれている。そんな彼が、この夏来日を果たした。
日本でも急速に注目を集める「音楽×Web3」の可能性、そしてこれからの音楽体験の未来について。今回は EDM MAXX を代表して、TJOがその核心に迫った。

・理想像について
TJO : ずばり、Cooperさんが考える『音楽×Web3』の理想形とは何でしょうか?この分野に深く携わる中で、未来の音楽体験がどう変わると考えていらっしゃいますか?
Cooper : 私は、ファンが自分が早くに発見した曲に投資できるようになるべきだと考えています。現状では、もし曲に「賭けたい」、あるいはその曲から利益を得たいと思ったら、レコード会社に所属するか、原盤を所有する必要があります。Coop Recordsでは、どんなファンでもどんな曲にも簡単に参加できる仕組みを作りたいと思っています。その実現手段こそがクリプト(暗号資産)だと考えています。
・サービス概要
TJO : Coop Recordsについて、初心者にもわかるように教えていただけますか?
Web3やNFTに詳しくない音楽ファンにも伝わるように、シンプルにご説明いただけると嬉しいです。
Cooper : Coop Recordsは「曲に賭けることができるプラットフォーム」です。もしあなたがこれまでに「この曲は売れる!」と早くに気づいて、応援や投資がしたいと思ったことがあるなら、Coop Recordsにアクセスすれば、その曲に早い段階で投資できるんです。
・目的と狙い
TJO : ブロックチェーン上で音楽レーベルを運営する一番の狙いは何でしょうか?
従来の音楽配信と比べて、Web3で実現できる新しい価値はどこにありますか?
Cooper : 最大の違いは「アーティストにお金が届くスピード」です。私がCoop Recordsで曲を買うと、アーティストはリアルタイムで支払いを受け取ります。Spotifyのようなサービスだと支払いまでに長い時間がかかりますが、Coop Recordsではファンが直接アーティストに支払いをし、さらに曲からのリターンも得られる仕組みになっています。つまり、アーティストは早く収益を得られるだけでなく、購入のたびに収入が増えます。そしてファンも実際に手に取れる「所有物」を持てて、その曲が人気になれば自分も利益を得られるのです。
・NFTとリスナーの権利
TJO : 楽曲をNFT(音楽コイン)として発行し、リスナーが購入した場合、そのNFT保有者はどのような権利を持つのでしょうか?
Cooper : 楽曲のダウンロード権と、レーベル内でのロイヤリティポイントを得られます。つまりアーティストを直接支援しながら、ダウンロードもでき、さらにレーベル全体やプラットフォーム上のすべての楽曲に対してもリターンがあるんです。
TJO : NFT市場での所有権はどの範囲まで及びますか?
Cooper : アーティストによります。多くのアーティストはいまだにクリプトやファンとの直接的な関わりに慎重です。私のビジョンは「最も支えてくれるファンが最大のメリットを受け取れる」ことです。最初は、アーティストが暗号資産を知らなくても簡単に参加できるようにし、VIPミート&グリートのような特典を用意する必要もありません。でも時間が経つにつれ、アーティストはファンが実際に多くのお金を費やしているのを見て、それに応じたリターンを提供するようになるはずです。
TJO : 保有期間は決まっていますか?
Cooper : 永久です。NFTは限定数しか発行されませんが、一度購入すれば自由に保有・売買ができます。価格が上がって売りたければ売れるし、下がって気に入らなくなったら手放すこともできます。つまり、いつでも自由に取引可能です。
TJO : 現実世界の原盤権や著作権との線引きはどのように考えていますか?
Cooper : Coop Recordsでは原盤権そのものに直接関わることはしていません。原盤を持っている人が、その権利に応じてクリプトで直接支払いを受け取る仕組みです。つまり、Spotifyなどでの収益に加えて、アーティストにとって新しい収入源を提供しているのです。マスター権利者は、Coop Recordsプラットフォームで生まれる収益にも参加できるようになっています。
・アーティスト契約
TJO : Coop Recordsとアーティストの間では、どのような取り決めや契約条件で楽曲がリリースされているのでしょうか?Web3特有のレーベル契約の特徴があれば教えてください。
Cooper : 私たちは「音楽サービス契約」を結んでいます。つまり、曲をライセンスし、クリプトの世界で収益化する権利を得る形です。レーベルには「この曲をライセンスしてNFTやトークンとしてリリースします」と伝え、得られた収益を50/50で分け合います。
・リスナーが求める価値
TJO : 2023年8月以降、800以上の楽曲リリース、200以上のアーティスト参加、約15万人近いユニークコレクターを獲得していますが、リスナーはこのコミュニティにどんな価値を求めていると思いますか?単なる音楽購入以上の魅力があるとすれば、それは何だと考えますか?
Cooper : 彼らは「曲の未来に賭けられる」というアイデアに興奮していると思います。今のところ、それを実現できる手段はありません。だからこそ、リスナーはそのプロセスの早い段階に参加したいと考えています。そして、Coop Recordsそのものにオーナーシップを持ち、そこで活動するアーティストたちのキャリア初期から関わりたいと思っているんです。これまで早くにアーティストを発見しても、支援の手段はせいぜいTシャツやチケットを買うことくらいでしたが、それらは転売性もなく個人的なものに留まっていました。私たちは、グローバル規模でアーティストのキャリア初期にファンが参加できるマーケットプレイスを作りたいのです。今のユーザーたちはそのビジョンに期待しており、いち早くアーティストを応援できることを楽しみにしています。
・Soneiumとの提携について
TJO : Sony Block Solutions Labsが開発したEthereumレイヤー2「Soneium」との提携で得られたものは何でしょうか?また、日本市場においてブロックチェーン上での音楽運営にどんな可能性を感じていますか?
Cooper : Soneiumは日本市場で非常に活発です。日本の人々は、デジタルグッズを買ったりトークンを取引したりといったオンラインでの「収集」に対してとてもオープンです。アメリカではまだ新しい行動ですが、日本では一般的になっています。さらに、日本の音楽ファンダムは非常に熱心なので、Coop Recordsにとってファンベースを広げる大きなチャンスです。Sonyとのパートナーシップは、日本で強い影響力を持つ彼らのネットワークを通じて、通常では届かなかったオーディエンスにリーチできる点で非常に有効です。
TJO : 今ブロックチェーン上で注目してる国は?
Cooper : アメリカです。私たちの拠点があるので。しかし日本も非常に大きな市場ですし、東南アジアにもコレクターがたくさんいます。全体的に、アジアの国々はデジタルグッズの購入に対して非常に積極的です。アメリカではまだ少し違和感を持つ人が多いですが、アジアでは自然な行動になっているので、こうした国々の人々の方が積極的に購入しているのです。
・子どもへのプレゼン
TJO : もし小学生に『ブロックチェーン上での音楽運営』について授業をするとしたら、どんな内容が一番ワクワクすると思いますか?子どもが夢中になれるような魅力的な説明の仕方があれば教えてください。
Cooper : 「曲をリリースしたら、その瞬間にお金が入るんだよ」と伝えると思います。大切なのは二つです。ひとつは、今インターネットに投稿してもお金を稼ぐのはとても難しいということ。Coop Recordsはそれを簡単に始められるようにしています。もうひとつは、これまで存在しなかった新しい行動とチャンスであるということです。もし本当にアーティストの一番のファンになりたいなら、Coop Recordsで彼らの音楽を買うことが最善の方法です。アーティストにはすぐに伝わりますし、実際に会えるチャンスに繋がるかもしれません。
・未来に期待すること、そしてアーティストやリスナーへのメッセージ
TJO : 最後に、Cooperさんがこれからの音楽とWeb3の未来に期待すること、そしてアーティストやリスナーに伝えたいメッセージがあればお願いします。
Cooper : 私はコンサートとWeb3をもっと結びつけたいと考えています。ライブに来て現実の音楽イベントに参加することでトークンを得られる仕組みを導入したいんです。この記事を読んでいる方に伝えたいのは、今後東京や大阪をはじめ日本で多くのイベントを行う予定だということです。Coop Recordsのショーに来ていただければ、無料でトークンがもらえます。そしてそのトークンが将来、価値あるものになることを期待しています。
「次の名曲」をただ聴くだけでなく、一緒に育てていく時代へ。未来の音楽体験は、もうすぐそこにあるとも言えるだろう。Cooperは「来年には日本にも拠点をつくり、さらに力を入れていきたい」と語ってくれた。その挑戦は、私たちの音楽の楽しみ方を大きく変えていくに違いない。
