Photo by Cameron DeFaria

シカゴ出身のDJ/プロデューサのJohn Summit (ジョン・サミット)がデビューアルバム『Comfort in Chaos』をリリースした。




EDMムーヴメント以降のダンスミュージック ・シーンのトップランカーとして今や飛ぶ鳥を落とす勢いのJohn Summitは大学生時代からDJや自主パーティーを企画し、会計士の仕事を経てフルタイムのDJとなったユニークな経歴の持ち主だ。

キャリアのブレイクポイントとなったのは2020年。UKハウス名門レーベルのDefectedからリリースした「Deep End」はSNSを中心にバズを起こし、それ以降もSofi Tukkerとの「Sun Came Up」、そして彼のシグネチャースタイルとして多く認知されている女性ヴォーカルをフィーチャーした「Human」は全米ダンス・ラジオ・チャートで1位を獲得、5,000万回以上のストリーミングを記録し、一躍彼の名前を有名にした。


以降もLatin Houseの「La Danza」、Acid House調の「In Chicago」などその時々でスタイルを変えながらも着実にヒットを飛ばし、様々なシーンからの地に足の付いた信頼を獲得、人気DJの仲間入りを果たす。また自身も2022年から「Experts Only(旧名:Off The Grid)」というレーベル兼イベント・ブランドをスタートさせ、Danny AvilaやMau P、Max Stylerなど気鋭のクリエイターによる楽曲を送り届け、House〜Technoを自由に行き来する現行シーンの流行ともリンクし、今最もホットなレーベルの一つとしても人気を集めている。

また数多くのフェスやクラブにも引っ張りだこで、今年のCoachellaではサハラテントステージの大トリを務め、EDCラスベガスでは自身にとって初めてのHOUSE体験と語る「Percolator」を生み出した彼の地元シカゴ・ハウスのレジェンドGreen VelvetとB2Bを飾った。そしてアルバムリリース直前にはNYマディソン・スクエア・ガーデンでのヘッドライン公演をソールドアウトさせ大きな話題を集めたばかりだ。


自身の散らかったデスクトップ画面を見た友人からの「なんてカオスなんだ」という発言と、毎日のように繰り返される狂乱のパーティーと静寂に満ちたホテルの部屋を行き来する生活から名付けたというデビューアルバム『Comfort In Chaos』は全12曲収録。近年のヒット曲群や自身のルーツであるシカゴ・ハウスをベースに、Techno、GarageやDrum & Bassなどの要素を取り入れた彼の歴史と今のシーンのムードを堪能する事ができる1枚に仕上がっている。

もちろん彼の名を不動のものにした2023年のHYALAとの「Where You Are」も収められている。この楽曲はその年の「フェスで最もプレイされた10曲」にも入るほどの大ヒットを記録し、Zeddによるリミックスをリリース。前アメリカ大統領バラク・オバマの年間ベストソング・プレイリストにも選出された。他にも抜群の相性を誇るHAYLAとの「Where You Are 第2章」とも呼べる今年頭に発表したアンセム「Shiver」、憧れの存在とも語っていたKaskadeとの「Resonate」、さらに昨今のドラムンベース流行と見事にリンクしヒットを記録中のSub Focusとの「Go Back」といった人気曲も収録。



また新録曲も2017年のハウス・クラシック=CamelPhat「Cola」のヴォーカルで知られるElderbrookとの「Give Me Anything」、UKで人気のダンス〜ポップを行き来するシンガー・コレクティブLoud LDNクルーのvenbeeとの流麗なDrum & Bassチューン「palm of my hands」など、自身がこのアルバムを「ひとつの長い旅」と語るだけあって様々な情景を想起させる。

ハイライト楽曲として注目されているのはPaige Cavellをフィーチャーした 「Tears」。当時失恋を経験した彼女が持ってきたアイデアをきっかけに高揚感とドン底を歌った曲で、ピアノの旋律からドラマチックに始まり、John Summit印の高揚感に溢れたメロディック・ハウスへと展開する壮大な1曲だ。


子供の時に映画が大好きで映画学校にも真剣に通おうとしていたという彼。今後は尊敬する映画音楽界の巨匠Hans Zimmerのように映画音楽を手掛けていきたいと語る彼の今後の展望がさらに楽しみになる爽快なデビュー作となった。