今世界中で大注目を浴びるハウスDJ/プロデューサーの
ジャックス・ジョーンズ、初の大規模ヘッドライン・ショーの会場となった場所は、多くのアーティストが憧れる英国ロンドンの「Roundhouse」(ラウンドハウス)。
もともと鉄道倉庫だった歴史的建造物で、60〜70年代にはラモーンズ、ピンク・フロイド、デヴィッド・ボウイなど数々の伝説のパフォーマンスが行われてきた。
レンガ造りの円形の建物内に入ると鉄柱の枠が並び、まるで巨大サーカスに迷い込んだ気分になれる、ワクワクする空間だ。
ライブの客層の平均は13歳から18歳といった印象で、会場は若いエネルギーと熱気で溢れていた。
ステージ上には、巨大サイズに膨れ上がったボトル等、ポップなオブジェクトが両脇に置かれ、ジャケットのアートワークと一貫して、アイコニックでポップな商品へのオマージュが見られた。
自身がゲームキャラになった映像で幕が開けると、待ちに待ったメインアクトの登場にティーンたちは大興奮で携帯を掲げる。
携帯やソーシャルメディア、インスタント・グラティフィケーションなどのユースカルチャーの要素は、サウンドはもちろんの事、ライブのビジュアルや演出にも散りばめられていて、自身のヒット曲”House Work”やイヤーズ&イヤーズとのコラボ曲”Play”と、立て続けにカラフルな映像やダンサーの演出と共に序盤から大盛り上がりを見せた。
ファットボーイ・スリム、 ダフトパンク、 ホワイト・ストライプスなど、こちらもまたアイコニックなポップソングをモチーフにしたDJセットを挟み、南ロンドン訛りの親しみやすいMCで、巨大な会場ながら、観客との距離感がぐっと近くなっていく。
グラミー賞ノミネート曲”I Got You”、YouTube再生回数1億回を越えた”Instructions”と、次々とヒット曲が続く中、円形会場の空間で観客との一体感がさらに増していく。
カラフルなビジュアルからグリーンのレーザーの演出に変わると、”All Day and Night (Europa)”がかかり、コラボレーターのマーティン・ソルヴェイグが登場。
ライブ終盤ではキーボード演奏に合わせて観客の大合唱が会場を包み、歓声と共に同曲のフィーチャリング・アーティストのRAYEが登場。大ヒット曲”You Don’t Know Me”で盛大なフィナーレを締めくくった。
ライブ前のプレイベントでジャックス・ジョーンズ本人に話を伺うと、去年の来日時に秋葉原を訪れたことや、アニメやラーメンなど日本文化の好きなところを語ってくれた。
「日本は、すごく自分らしくいられる場所。また早く音楽を届けに行きたい!」
そんな嬉しい言葉をくれた彼のハッピーでフレンドリーな人柄は、ライブの節々から伝わってきた。
シンセやリズムパッド、ベースやキーボード演奏などを1人でこなし、DJ/プロデューサーとしてだけでなく、ミュージシャンシップも感じられた今回のライブ編成。
R&B、ヒップホップ、自身のバンドなど、さまざまな音楽経歴を経てきたジャックス・ジョーンズならではの器用さと、サービス精神が散りばめられたソールドアウト・ライブは、大盛況に幕を閉じた。
なお、ジャックス・ジョーンズは今年9月以降に予定されているゼッドのツアーサポートに大抜擢。今後の活躍にも注目ですね。
Text by Rie fu