ビッグルームを包み込むようなスケール感を保ちながら、ゆっくりと込み上げてくる情緒的なシンセ・メロディと、オフビート気味に刻まれるUKガラージ的な跳ねるビートを反復。その上でYoung Thugの2018年の未発表曲「Lucky」をサンプリングし、「Don’t you ever show you scared, baby」というフックが、曲全体にエモーショナルな抑揚を与えていく。中盤にはノイズにまみれたブレイクも挟まれ、そこから一気に感情が解放されるようなエンディングへとなだれ込む構成は、まさにFredの十八番と言えるだろう。
Young Thugはアトランタ出身で、2010年代トラップ以降のヒップホップを語るうえで欠かせない存在だ。歌心のあるフレーズ運びと独特の声色、既存のラップの型から逸脱する表現でシーンを更新してきた。ヒップホップ界にとどまらず、Jamie xxやCalvin Harris、Diploの楽曲に参加し、Camila Cabello「Havana」でのフィーチャリングなど、ダンス・シーンやポップス・シーンでも大きな存在感を放っている。さらに2018年にはChildish Gambino「This Is America」にソングライターとして参加し、同曲はグラミー賞でソング・オブ・ザ・イヤーを受賞した。だが近年は法的問題で逮捕・起訴され、2024年10月末に保護観察の条件付きで釈放。その後は復帰作もリリースし、活動を再開している。
Fred again..は今年に入っても『USB002』の追加公演として、1月までニューヨークで6公演を開催。Romy、HAAi、Hamdi、Oppidan、BRUX、Caribouなど多彩なゲストDJが華を添えた。さらにRomyはDJだけでなくFredのステージでマイクパフォーマンスも披露し、別日の公演ではDenzel Curryや070 Shakeをサプライズゲストとして招くなど、すでに大きな話題を提供している。