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Wuki 来日インタビュー:200曲超のリミックスワークからグラミー賞ノミネートまでの軌跡

パンデミックを経て辿り着いた、「音楽は楽しむもの」という原点、そしてハードさとユーモアを両立させるWuki流ダンス・ミュージック論

ジャンルを越境するプロダクションと、ユーモアに満ちたキャラクターで世界中のフロアを沸かせてきたDJ/プロデューサー、Wuki。パンデミック以降の約5年間で200曲以上のリミックスを手がけ、再び音楽的アイデンティティを確立した彼が来日し、日本のファンとの再会を果たした。

今回は特別に、WUKI来日公演のスポンサーを務める 「SMIRNOFF」特設BAR にてインタビューを敢行。



ロックバンドからキャリアをスタートし、Skrillexらの影響を受けながら独自のスタイルを築いてきた WUKI。
本インタビューでは、彼の創作を突き動かすインスピレーションの源をはじめ、サウンドの大きな特徴である「ハードさ」と「ユーモア」のバランス、そして5年という時間を経て辿り着いた「音楽は楽しいものである」という再発見とその哲学、さらには今後のビジョンまでを、TJO が独占インタビュー。




ー 待ち望んだ日本への帰還


TJO:僕らだけでなく、ファンにとっても待ちに待った来日ですね。久しぶりの日本はいかがですか?


Wuki:本当に、いつ来てもこの国に来られることには感謝しかないんです。文化も街も本当に美しいし、ここに来るたびに喜びで胸がいっぱいになります。自分の音楽をここでプレイできて、みんながこんなにワクワクしてくれているのを感じられるのは、本当に満たされる瞬間ですね。最高です。

ー ロックバンドからエレクトロニックの先駆者へ


TJO:これまで本当に幅広いジャンルを手がけてきましたが、音楽を始めた頃、特に影響を受けたアーティストやスタイルは何でしたか?


Wuki:最初はロックバンドで音楽を始めたんです。ギターもドラムもやっていて、初期はハードコア・ミュージックに強く影響を受けていました。その後に出会ったのがThe Prodigyで、彼らは僕にとって「初めてロックバンドのように聴こえたエレクトロニック・アクト」でした。そこから一気に引き込まれましたね。それから Chemical Brothers、Daft Punk と続いていって、Underworld も大好きです。さらに、Skrillex がブレイクし始めた頃は彼にものすごく影響を受けました。



ー アイデアはどこにでも転がっている


TJO:世界中のDJがあなたのリミックスをプレイしています。世代を超えて支持されている、まさに「現場に愛されるプロデューサー」だと思いますが、その独創的なアイデアはどこから生まれるのでしょう?



Wuki:正直、スーパーやガソリンスタンドにいても突然アイデアは浮かびます(笑)。例えば、ふと耳にした曲にカッコいいギターリフがあったら、「これをダンス・ミュージックに落とし込めるかも」って思うんです。いつも「ダンス・ミュージックの中で、どこまでやっていいか」を探っている感じですね。僕は本当にジャンルを問わず音楽が好きなので、とにかくいろんな音楽を聴いています。その中で新しい何かを常に探している。たぶん、それが一番の理由だと思います。

ー 今、特に刺激を受けている音楽


TJO:最近、特にハマっている音楽はありますか?

Wuki:今はUKから出てきているサウンドが本当に好きですね。KETTAMAやProspaみたいなアーティストたち。今のダンス・ミュージックの中でも、すごくエキサイティングだと思います。それと、昔からずっと尊敬しているのは、SkrillexやBoys Noizeみたいな、すごく誠実でアーティスティックな人たちですね。何年経っても、彼らはずっと憧れの存在です。




ー リミックスする曲の選び方


TJO:思い入れのある曲なのか、フロアを揺らすための曲なのか、リミックスする曲はどのように選んでいますか?



Wuki:まずは、その曲に何かしらの愛着を持てるかどうかですね。やっぱり自分がその曲を好きじゃないと、いいものにはならないし、制作中のワクワク感も違います。それと、原曲へのリスペクトも大事にしています。EDM的に作り変えつつも、ちゃんと元の曲の良さを残す。そのバランスは難しいですが、今はかなりうまくできていると思います。


ー 5年間で200リミックスという驚異の創作量


TJO:約5年で200曲ものリミックスを制作していますが、その原動力は何だったのでしょう?



Wuki:きっかけはパンデミックでした。ツアーも何もなくて、ずっと家にいるしかなかった。たぶん、退屈さと、頭の中に溜まったアイデアが混ざり合った結果だと思います。とにかく音楽を作り続けていました。自分にとって一番満たされる瞬間は、完成した曲を聴き返して「これ、いいな」と思えることなんです。

TJO:毎日のように制作していて、アイデアが枯れることはなかったですか?

Wuki:全然なかったですね。世の中には本当にたくさんの音楽がありますし、常に新しいものを作れる。リミックスだけじゃなくて、オリジナルも作っていますから。結局、僕はずっと「作ること」と、その感覚を追い求めているんだと思います。

ー “自分のサウンド”の再発見


TJO:パンデミック中に「音楽的に迷っていた」と話していましたが、そこから立ち直るきっかけは何だったのでしょう?

Wuki:面白いことに、たくさん作ったリミックスが、自分のサウンドを見つけ直す手助けになったんです。Wukiとして、僕はこれまでベースハウスもトラップもダブステップも、いろいろ作ってきました。でも、そのリミックス群に共通する何かが見えてきて、「これが自分なんだ」と思えるようになった。結局は、ひたすら作り続けることでしか辿り着けないんだと思います。



ー 「面白いのに、ちゃんとハード」な理由


TJO:あなたの音楽やSNSは「面白いのにハード」な感覚を感じますが、そのバランスはどう考えていますか?

Wuki:たぶん、僕の性格そのものなんですよね。そんなに真面目一辺倒なタイプじゃなくて、笑うのも楽しいことも好き。音楽って、本来は楽しいものだと思うんです。聴いていて笑顔になれる、スタジオでも「これ最高だな」って思える。そういう人生観が、そのまま音楽に出ているんだと思います。


ー『Beats I Can’t Release Mixtape [Vol.1]』誕生の背景


TJO:200作目のリミックスを記念して『Beats I Can’t Release Mixtape [Vol.1]』を発表しました。この企画の背景を教えてください。

Wuki:実はずっとファンから要望があったんです。サンプルの関係で、SpotifyやApple Musicでは正式に出せない曲が多くて。だから、ミックスという形で YouTubeやSoundCloudにまとめることにしました。各曲を15秒じゃなくて、もう少し長くちゃんと聴いてもらえるようにしたかったんです。選曲は、人気のあるものや自分のお気に入り、「Sunshine」みたいな既発曲を組み合わせました。まとめるのは大変でしたけど、うまくハマったと思います。



TJO:このミックスで表現したかったことは何ですか?

Wuki:とにかくテンポよく展開させたかった。30秒ごとに変化していくような感覚で、昔の音楽から最新の音まで、自分の趣味を全部詰め込みたかったんです。

ーこれから先に見ているもの


TJO:グラミー賞ノミネートやSkrillexとのコラボなど、誰もが夢見る多くを成し遂げてきましたが、今後の目標は?

Wuki:正直、グラミーは一度は獲りたいですね(笑)。でも、あまり実績のことは考えすぎないようにしています。自分が愛せる音楽を作り続けることが一番大事で、他のことは全部その結果。もっと大きなショーもやりたいし、ミックス制作も本当に楽しかったので、次の作品もすでに動いています。とにかく、これからも音楽を作り続けます。


200を超えるリミックスを経て、Wukiが辿り着いた答えは驚くほどシンプルだった。「音楽は、楽しむためのもの」。日常にあるさまざまな音を拾い上げ、それをフロアを揺らすダンス・ミュージックへと昇華していく。ユーモアとハードさを併せ持つ彼のサウンドは、「音楽の楽しさを決して忘れない」という揺るぎない姿勢を根底に、これからも世界中のフロアに笑顔と多幸感をもたらし続けるだろう。



今回大盛況で幕を閉じたWUKI来日公演の模様は、
主催者であるSUGARBITZのインスタグラムでもチェックできる。

Don Julio 1942 Presents WUKI Japan Tour
– Dec 5th, 2025📍六本木 SEL OCTAGON TOKYO
👑GUEST:WUKI
TJO, DJ KOMORI and OCTAGON RESIDENT DJs
Prod SUGARBITZ Co.,Ltd.


SMIRNOFF XMAS PARTY 2025 WUKI Japan Tour
– Dec 6th, 2025📍京都 WORLD KYOTO
👑GUEST:WUKI
TJO, JO3, DJ YU-KI, DJ YUTA
Prod SUGARBITZ Co.,Ltd.