転機となったのは、2025年2月にリリースされたシングル「tell you straight」。スピードガラージのビートに、切れ味のあるシンセを組み合わせた中毒性の高いトラックで、Spotifyでの再生回数は2,500万回を突破。Ely Oaks、Inji、Badger、Killen.、Louis The Childといった人気アーティストによるリミックスも制作され、Billboard Dance Chartをはじめ、各国のバイラルチャートにもランクインを果たした。また、フロア中央にDJブースを設置する360度スタイルのDJセットも話題となり、パフォーマンス映像はTikTokでも大きな注目を集めている。
今回のEP『all my exes live in brooklyn』は、全8曲構成。制作に先立ち、彼は昼間の仕事を辞めるという大きな決断を下している。今作では、共同プロデューサーAire Atlanticaとともに、jigitzならではのユニークかつフレッシュなサウンドスケープを展開。エフェクトがかった女性ヴォーカルが全編を通してフィーチャーされ、作品全体に統一感とキャラクターを与えている。ブレイクビーツ、ハウス、ガラージ、アンビエントといった要素が縦横無尽にミックスされ、エモーショナルかつ高揚感に満ちたトラックが並ぶ。
ハイライトとなるのは、やはりバイラル・アンセム「tell you straight」。スピードガラージのビートにヘビーなシンセを組み合わせたjigitzの代表的ナンバーだ。ほかにも、ヒップホップ・ヴォーカルと重厚なベースラインが炸裂する「dollaz n dollaz」、ノスタルジックなシンセとローリングベースが深い余韻と解放感ををもたらす「free myself」など、各曲が個性的なサウンドを展開する。
EPのタイトル『all my exes live in brooklyn』は、カントリー・レジェンド、ジョージ・ストレイトの名曲「All My Ex’s Live in Texas」にちなんだもので、jigitzが幼少期に親しんだ90年代カントリーへのオマージュとなっている。本人はこのタイトルについて「実際の元カノはマンハッタンに住んでるけど、“ブルックリン”の響きの方がよかった」と語っており、ウィットに富んだセンスも光る。