EDITOR'S PICK

GIANTKILLERZが仕掛ける未来の才能発掘、Nicky Romero直伝マスタークラス潜入レポート

世界のトップ・シーンで磨かれた技術、経験、そして情熱。Nicky Romeroが直伝する“本物”のサウンドメソッドとは

2024年に発足した『GIANTKILLERZ』は、世界に通用する新たなプロデューサー/DJを発掘し、グローバルマーケットへと送り出すことを目的としたプロジェクト。 エイベックスが、オランダを代表するトップアーティスト・Nicky Romero(ニッキー・ロメロ)主宰のレーベル『Protocol Recordings』とタッグを組んで始動させた。





そのプロジェクトの一環として、「GIANTKILLERZ presents Nicky Romero’s MASTER CLASS & DEMO DROP In TOKYO」が今年も開催された。 Nicky本人によるレクチャーとフィードバックが受けられる貴重な機会で、今回で2回目の開催となる。
それではここから、昨年の初開催から好評を集める“マスタークラス”の当日レポートをお届けしていく。


■『GIANTKILLERZ presents Nicky Romero’s MASTER CLASS & DEMO DROP In TOKYO』とは?





Nicky Romero本人が、実際に自身の楽曲制作で使用したプロジェクトファイルをもとに、制作の考え方やテクニックを解説する特別なマスタークラス。 その内容は単なるレクチャーにとどまらず、楽曲制作に関する悩みや疑問にも、参加者がその場で直接質問し、答えてもらえる貴重な機会となっている。


さらに、『GIANTKILLERZ』を通じて集まった応募者の楽曲に対し、Nicky Romeroがその場で試聴し、ブラッシュアップに向けた具体的なアドバイスを提供する「デモドロップ」も実施。 
世界を舞台に戦うことを夢見るDJ/プロデューサーにとって、実践的かつ刺激的な学びの場となっている。


これまで数々のトップアーティストを輩出してきた“EDM大国”オランダの育成システムを参照した教育プログラムも提供され、成長を目指す若き才能に向けた濃密な機会が用意されている。





本年のマスタークラスで使用された楽曲は、2025年7月18日にNicky Romeroがリリースした最新シングル。


■Nicky Romero x Barmuda – Fade Away


オランダ発の新進気鋭シンガーソングライター・Barmudaとのタッグによる本作は、先月開催された『World DJ Festival Japan』でも披露され、ID(未発表曲)として話題を集めていた注目の1曲。
美しく繊細なメロディーライン、哀愁を帯びたボーカル、そして煌びやかなシンセが際立つ壮大なドロップ。 それらをNickyの緻密なサウンドプロダクションが見事にまとめ上げ、プログレッシブ・ハウスの魅力を余すことなく詰め込んだ、まさにNicky Romeroらしい仕上がりの作品である。




マスタークラスでは、この「Fade Away」のプロジェクトファイルを惜しみなく公開。
各サウンドの役割や、どのようなレイヤー構成によって楽曲の全体像が形作られているのかといった技術的なポイントが、丁寧にレクチャーされた。 
また、参加者から寄せられた楽曲制作に関する悩みや、Nicky自身の制作スタイルに関する質問にもその場で応じる質疑応答の時間が設けられ、会場は終始熱気に包まれていた。









さらに、プロデューサーにとって最難関とも言える“ミックス”工程についても、Nickyが実際に使用しているプラグインやノウハウを紹介しながら、その考え方を惜しみなく共有。 世界基準のサウンドを支えるディテールの数々が明かされた。

滅多に目にすることのできない、世界トップクラスのプロデューサーによるプロジェクトファイルを惜しげもなく公開するその姿からは、“若手育成”を通したダンスミュージックシーンの発展への願い、そしてNickyの音楽に対する揺るぎない情熱と、飽くなき探究心がひしひしと伝わってきた。

なお、EDMMAXXでは、Nicky Romeroへの独占インタビュー記事も近日公開予定。 ダンスミュージックへの想いや、楽曲制作に欠かせない“マストなプラグイン”について語った内容となっているので、そちらもぜひ見逃さずチェックしてほしい。






その後、実施されたのが、本プロジェクトの目玉企画の一つである「デモドロップ」。
『GIANTKILLERZ』に応募されたデモ音源の中から、その場でランダムに選ばれた楽曲を1曲ずつ試聴し、Nicky本人が良かった点や、技術的に改善すべきポイントをリアルタイムでフィードバックしていくという内容だ。
選ばれたデモのクオリティの高さに、Nickyも驚きと喜びを見せながら、楽曲を構成する各サウンドのバランスやミックスの精度といった細部にまで踏み込み、世界基準のサウンドを目指すための具体的なアドバイスを惜しみなく届けていた。





披露された楽曲に対して、会場からは自然と拍手が巻き起こり、ポジティブな空気に包まれていく。 そこには、楽曲制作の喜びや夢を追うことの素晴らしさを肯定するムードが確かに存在していた。

まさに、新たな才能を発掘・育成することを目的とした『GIANTKILLERZ』の真髄を体現する時間となっていた。





選ばれたデモ音源は、プログレッシブ・ハウスやテクノ、さらにはバウンシーなサウンドまで──ジャンルは多岐にわたったものの、どの楽曲に対しても的確かつ具体的なアドバイスを送るNickyの姿は、まさに圧巻。
EDM黎明期からシーンを牽引してきた経験、そしてジャンルに縛られない柔軟な音楽性。 そのすべてがにじみ出るレクチャーを目の当たりにし、改めてNicky Romeroというアーティストの凄みと深さを実感させられた。

その後、デモ音源が選ばれた参加者には、Nickyが主宰する『Protocol Recordings』のオリジナルグッズが手渡され、最後は参加者全員との記念撮影も行われた。

こうして、およそ3時間にわたって繰り広げられたマスタークラスは、温かいムードに包まれながら幕を閉じた。
夢を追う若者を応援するその姿勢からは、音楽に対する純粋な愛情が伝わってくる。 そして同時に、Nicky Romero自身もまた、夢を追い続ける一人なのだと改めて感じさせられた。









世界トップのステージで磨かれた技術、経験、そして情熱。 すべてを注ぎ込んで“次世代”に向き合うNicky Romeroの姿勢に、多くの参加者が勇気づけられた今回のマスタークラス。

すでに第2回を迎えた『GIANTKILLERZ』は、今後さらにスケールを広げながら、新たな才能を世界へと送り出していくはずだ。 今後の展開にも注目していきたい。