イスラエル出身のDJ/プロデューサーでEDM〜トランス・シーンで人気を集めるMR.BLACKが、この度SEL OCTAGON TOKYOのレジデントに就任し、新たなイベント「TRIP 2 FANTASY」を発足する事を発表した。
Tiësto主宰レーベル「Musical Freedom Records」やHardwell主宰「Revealed Recordings」からリリースを重ね、トランス界のカリスマSKAZIとのユニット「Warriors」としてジャンルを超え活躍する彼、そしてエイベックス・エンタテインメントからA&Rとして長きに渡って日本のダンスミュージック・シーンを支え、MR.BLACKとも親交の深い=宇野氏を迎えレジデントへの想い、新イベントへ思い描くヴィジョンを聞いた。
Interview, text by TJO (SUGARBITZ)
TJO:オクタゴンのレジデント就任おめでとうございます。まずはどのくらいの頻度でSEL OCTAGON TOKYOでレジデントを行っていくのでしょうか?
MR.BLACK:ありがとうございます。世界で最も好きな場所のひとつである東京でレジデントを行っていくのは初めての事で、今からとても楽しみにしています。新イベントは「TRIP 2 FANTASY」と名付け初回は10月4日(金)にスタート、以降は年間8回開催。またSEL OCTAGON TOKYOで行われている水曜日のサイケ・トランスのイベントにも参加するのでそれも含めると全16回の出演予定になります。
TJO:新イベント「TRIP 2 FANTASY」はイベントにしていきたいですか?
MR.BLACK:音楽に関してはハイテンポなBPMで僕らにしか出来ないユニークなサウンドを主体としつつ、黒とオレンジを基調にバルーンでの装飾やダンサーも入れて一晩を通してSEL OCTAGON TOKYOを幻想的な世界にしたいと考えています。これは自分達にとっても新しい試みで、今も準備中ですがチーム全員で一生懸命最高の空間を作って遊びに来てくれるお客さんに最高の体験をしてもらいたいと考えています。
TJO:何度も来日していますが、日本へのイメージを教えてください。
MR.BLACK:日本の人々は例え僕の事を知らなかったとしてもとても礼儀正しく接してくれ、また同時にパーティーをする時には凄いエネルギーを彼らから感じます。日本の風景も綺麗だし、日本食も素晴らしく、本当にここの文化が大好きです。いつもどの国でDJするのが好きかと聞かれると毎回「日本だよ!」と答えます。本当にお気に入りの国のひとつです。
TJO:現在の世界のダンスミュージック・シーンの流れについて思う事、最近注目しているアーティストや楽曲はありますか?
MR.BLACK:これはとてもハードな質問ですね(笑)。なぜなら今世界では本当に大きなムーヴメントが同時発生していて比べるのがとても難しい。例えば音楽を食べ物に置き換えるとイメージしやすいと思うんですが、寿司は他とは比べられない素晴らしさがあって、同じ様に例えばサイケ・トランスには速いBPMに身を置いて気持ち良くなる高揚感があって、これはこのジャンルだからこそ味わえる体験っだったりします。そんな中でも今の世界のシーンから選ぶとすればハウス、特にアフロ・ハウスだったり、またAnyma率いる「Afterlife」や今のDavid GuettaがFuture Raveなどでやっているようなアンダーグラウンドなものに興味を惹かれますね。中でもDavid Guettaは今や56歳でレジェンドなのに、「今がキャリアのスタートだ」と言わんばかりに常に新しい要素や流れをDJブースから発信してくれて、そのパイオニア精神がいつもインスピレーションを与えてくれますし、いつまでも僕のお気に入りのアーティストの一人になっています。好きな曲については…沢山ありますぎて選べません!(笑)
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TJO:あなた自身、BPMの速い楽曲をプレイする事が多いと思いますが、最近のダンス・シーンのレイブ回帰の流れでBPMがまた速くなって来ている事に関してどう思っていますか?
MR.BLACK:素晴らしいです。個人的にヨーロッパだけでなくアジアのシーンでも速い楽曲が鳴っているのを見る事が多く嬉しいですね。ベルギーのTomorrowlandフェスのセットの最後にサイ・トランスをプレイする機会があったんですが、さっき話したDavid GuettaやTiestoなどの大物DJも150BPMなどの楽曲をかけて会場を盛り上げていましたね。とにかくフェスティバルやクラブ、パーティーなどで観客がよりエネルギーを感じたい時に速いテンポの楽曲が与えるパワーは計り知れないです。でも逆に、よりアンダーグラウンドでよりディープなサウンドであれば僕は遅いテンポの方がフィットすると思います。
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TJO:ここからはMR.BLACKとも縁の深いNobby Unoさんに質問ですが、今の世界のダンス・シーンの変化についてどう思いますか?
Nobby Uno:個人的には昔あったムーヴメントがここに来て新しい物として受け入れられているサークルが面白いなと思っています。例えば今ならイギリスの音楽シーンがまた熱くなって来ていますよね。ドラムンベースがEDMフェスで多くプレイされたり、15年前の楽曲が今またイビサで流行ったり、時代が回っている。90’sレイブ&トランスを現代的にアップデートしたサウンドで人気のMarlon Hoffstadt(aka DJ Daddy Trance)が今年イビサの名門クラブであるウシュアイアに呼ばれたり、LGBTQカルチャーの盛り上がりや1991年にオープンしたドイツを代表する老舗クラブBOOTSHAUS(ブーツハウス)が観客でパンパンだったりと、いろいろな音楽が元気になっていますね。僕からもMR.BLACKへ質問したいのですが、このリバイバルについてどう思いますか?またどう言った音楽を若い頃に聞いていましたか?
MR.BLACK:ファッションと同じですね。10年ごとにサイクルが回っている。音楽に関してもみんな90’sレイヴのメロディや要素を取り入れたり、ハウスでもオールド・スクールなアカペラを新しいビートと融合させたりして循環させています。僕が思うに今は3つのジャンルが特に流行っていると思います。一つが「ハウス」、もう一つが「メロディック・テクノ」、そして最後が「レイヴ・ミュージック」。今はEDMでもサイ・トランスでもなく、中にはテクノという人もいると思いますが、それらのジャンルにも今積極的に取り入れられている事も踏まえて私は総称としてレイヴ・ミュージックと呼びたいです。今はこの3つが大きなトレンドですね。これらは宇野さんが言うように昔のメロディやヴォーカル・サンプルなどのインスピレーションを経て、再び新しい流れを作っていると思います。そして聞いて来た音楽に関してはThe Prodigy、The Chemical Brothers、トランスのSimon Posford、Infected Mushroom、他にSnap!やDr. Albanなどのハウスやオールド・スクールなサウンドと素晴らしい音楽と共に育って来ました。当時も今もそれら楽曲を聴くたびに魔法のようなものを感じます。
Nobby Uno:え!実は偶然にも昨日、自分のレコードコレクションでDr. Albanを見つけて、すごく新鮮だなって感じていたんですよ!
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MR.BLACK:そう、新しいビートやベースを加えたら全然今でも機能しますよね。私もオールドスクールなサウンドが好きで、さっき話していたようにそれらを今にアップデートしてクラブでプレイしてもむしろフレッシュに聞こえて盛り上がるんです。
Nobby Uno:正にさっき言っていた「レイヴ・ミュージック」ですね(笑)。
MR.BLACK:そうですね(笑)。TomorrowlandフェスでのDimitri Vegas & Like MikeやTiestoを見ても分かる通り、例えばHIPHOPのエミネムのラップを使ってもレイヴ・ミュージックを作る事もできますしね。
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TJO:音楽制作に関して、インスピレーションはどこから湧いてきますか?
MR.BLACK:やはり人生、全ての生活の中からですね。それは鳥が羽ばたいてるところを見たり、レストランに行った時だったり、友達を会話している時だったり、またスタジオでピアノを弾きながら良いメロディが浮かんできたりと、いろいろあります。中でも一番のインスピレーションは映画を観ている時ですね。監督がストーリーをどのように構築するのかを観て、その世界観から音楽のアイデアが浮かんだりします。時にダークだったりと、映画にはコンセプトや色彩、特徴があるのでそこから刺激を得て音楽を作りますね。
TJO:特に好きな映画はありますか?
MR.BLACK:「キル・ビル」ですね。実際に私が過去にやっていたBlack & Whiteと言うユニットでサイ・トランスの曲を作りました。また映画の印象的なサイレン音を楽曲や自分のセットの中でも使っていたりします。
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Nobby Uno:あのサイレン音はQuincy Jonesによる
映画「Ironside」のサウンドトラック からの引用なんですよね。
MR.BLACK:なるほど!あと他には映画音楽家のHans Zimmerのメロディから大きなインスピレーションを得る事が多いですね。
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TJO:今後のリリースや予定はありますか?
MR.BLACK:今いくつかのコラボレーションに取り組んでいます。そのうちのひとつがMarnikとSteve Aokitのコラボですね。先日のTomorrowlandフェスでも一緒にメインステージでプレイしたばかりです。また「Sky」や「Rhythm Is a Dancer」と言う楽曲も作りました。他にも大きなコラボレーションがあるのですが、今はまだ言えないです(笑)。
Nobby Uno:今回の新イベントについて、SEL OCTAGON TOKYOのどういったところがコンセプトにハマると思いましたか?
MR.BLACK:SEL OCTAGON TOKYOは多くのレーザーや未来的な照明もあり、またサウンドシステムも本当に素晴らしいです。世界中のクラブにはこういった素晴らしいクラブが多くありますが、SEL OCTAGON TOKYOでは流れている音楽が違います。自分のレジデント・パーティーをやるにあたり僕が作ろうとしているのは、そこにより多くの要素、プラスアルファとしてデザイン面も含め、2ヶ月に一回のパーティーで観客にエキサイトな体験をして欲しいと願っています。それには僕らチーム自身もエキサイトしていますし、我々が考えるビジョンを実現するために新しい事をどんどん試したいと思っています。この企画は元々韓国でのディナーから始まったんです。ヨーロッパで人気のハウス・イベント「elrow」からイメージを得て、黒とオレンジを基調にバルーンの装飾やダンサーや和太鼓のドラマーも入れたりとまだ全て決定していませんが、この大きなコンセプトに今からとても興奮しています。
また我々はこのイベントを世界中に向けて大規模なPRを行う予定です。私の友人達や世界中のファンも日本でもこれから何が始まろうとしているか知りたがっているので、これをしっかりと伝え、ヨーロッパやアジアから彼らをこのイベントに招待したいと考えています。今回のプロジェクトを信じて、サポートしてくれるavexのMAX松浦さん、そして一緒に作り上げていくSEL OCTAGON TOKYOのスタッフ、DJの皆さんにも感謝しています。また日本の皆さんからいつも愛をを感じますし、この機会に心から感謝しているのでベストを尽くしたいと思っています。
イベント詳細:
SEL OCTAGON TOKYO 海外レジデントDJとして就任が決定した、”ハイブリッド・トランス” のパイオニアとして知られるイスラエル発のDJ兼プロデューサー MR.BLACK が主宰となる、新感覚没入型イベント「TRIP 2 FANTASY 〜TOKYO BY NIGHT EDITION〜」が10月4日(金)、日本初開催!
イベント名:TRIP 2 FANTASY 〜TOKYO BY NIGHT EDITION〜
日程:10月4日 (金)
会場:六本木 SEL OCTAGON TOKYO (
https://sel-octagon-tokyo.jp )
プロフィール紹介:
MR.BLACK:
イスラエルのDJ/プロデューサー。 2015年に Tiësto主宰の「Musical Freedom Records」から Sonny Wilsonをフィーチャーした楽曲「Boombox」をリリースし、 Beatportチャート1位を記録。 さらに Hardwell 主宰のレーベル「Revealed Recordings」から代表曲 「Party People」や「Hu-Ha」をリリースするなど、スマッシュヒットを量産。 2017年にはTiëstoの公式リミックスをリリースし、 世界中から注目を浴びた。 また、TRANCE界のカリスマ SKAZIとのユニットWarriorsとしても活躍。 エレクトロニック・ダンス・ミュージックの最大手レーベル「Spinnin’ Records」や Armin van Buuren主宰の「Armada Music」からもオリジナル楽曲をリリースし、Tomorrowland など世界のビッグフェスやクラブに出演。「HYBRID TRANCE」の火付け役である”MR.BLACK”は世界を熱狂の渦に巻き込む今注目のアーティストだ。
Nobby Uno:
エイベックスではA&RとしてArmin van Buuren, System F(Ferry Corsten)、Tiësto、Above & Beyondら海外DJと日本で初めての契約を果たす。サイバートランスをプロデュースし、EDMではHardwell、Nicky Romero & Protocol Records、Dimitri Vegas & Like Mike、W&Wほかと契約し、国内外のコンテンツとのコラボも実現。海外DJやフェスを中心に世界中の音楽エンタテイメントに知見と人脈をもつ。現在はオランダのDJユニットW&Wの日本のマネジメントをはじめ、SEL OCTAGON TOKYOのアドバイザーも務める。