ダンス・ミュージック大国オランダを代表するDJ/プロデューサーNicky Romero(ニッキーロメロ)。
「Toulouse」や「I could be the one」をはじめ数々のヒット曲を世に送り出し、今年に入ってからも「Tomorrow Comes」や「All Night Long」「Base Down Low」などコンスタントにリリースを重ねている。SUMMER TOURで各国を巡る中、2024年7月12日には約1年ぶりとなる来日公演をZEROTOKYOで敢行。また、それに併せてダンスミュージックの制作手法について講義するマスタークラスも開催された。時間の制約がある中でももっと役に立つ情報を教えたいというニッキーの音楽、そしてファンに対する真摯な気持ちが現れたとても充実したセッションとなった。
新曲やマスタークラス、そして日本のファンへのメッセージをTJOが聞いた。
TJO:7月12日に新曲「Base Down Low」がリリースされました。どのような点に一番着目して制作しましたか?
Nicky Romero:グルーヴィーな曲からよりクラブのフロア向けの曲に移行できる楽曲を求めていました。
1時間半、時には2時間のDJプレイをする時に、セットの中でストーリーを作りたいと思うことがあります。たとえば、ハウシーな曲からより切れ味の鋭い曲に行き、最後はヒット曲で締める。その中で様々な側面を持つ楽曲が必要となります。私にとって「Base Down Low」はまさにそれで、グルーヴィーなエネルギーを違和感なくクラブ寄りに変えることができます。違うサウンドに移る時にはこの方法が正しいと感じて、そのインスピレーションを1曲に凝縮してできたのがこの曲です。会場に響き渡る音がどんどん加速し、緊張感がより高まっていく。そういった意味でこの曲は特別で、エネルギーを逃さず新しいレベルに昇華させるものだと思っています。
TJO:ダンスミュージックの制作手法について講義する「マスタークラス」が今回日本で初めて行われました。マスタークラスはいかがでしたか?
Nicky Romero:正直に言うと、新しい知識を学んだり、人に教えたりすることにとてもやりがいを感じています。自分も若い頃にアーティスト向けのマスタークラスみたいなものがあったらいいなと思っていましたが、当時は参加できるようなマスタークラスが本当に無かったんです。だから今こうして、自身の知識を若い世代に伝えられることを大変嬉しく思っています。
今回のマスタークラスを通して、色々な人のサウンドを聞きましたが、全体的に日本のレベルは高いと思いました。すごく感じたのは、みなさんもうすでに自身のサウンドを作り始めていて、非常にいい耳とサウンドを持っているということです。
※エイベックスとNicky Romeroが主宰するレーベル「
Protocol Recordings」がタッグを組み、日本在住の新しい才能、クリエイターを発掘、育成していくプロジェクト「
GIANTKILLERZ」が今年からスタートしている。
■ GIANTKILLERZに関する記事はこちら
TJO:アーティスト人生の中で「忘れられない経験」「驚いた経験」を教えてください。
Nicky Romero:私のアーティスト人生には素敵な瞬間がたくさんありました。特にここ12-15年はたくさんの素敵な人との出会いがありました。例えば、カニエ・ウェストや
ドクター・ドレーに会えたことはすごく刺激になりました。また、今となっては残念ながら共演することはできませんが、アヴィーチーとの共演は非常に特別な思い出となっていて、そのような人たちとのステージ上やバックステージでの出会いが大切な思い出となっています。
もちろん、いわゆる有名ではない人との出会いでも、その純粋な誠実さにたくさんの刺激を受け、今日の私ができたことは言うまでもありません。
TJO:日本のファンにメッセージをお願いします。
Nicky Romero:まず初めに「こんにちは」日本!また日本に戻ることができて嬉しいです。
何年もの間、みなさんに支えられてきました。私が行く先々でいろんなフラッグやボードを目にしますし、Protocol Recordingsの写真や、愛犬のラビの写真も見ることができました。
日本には献身的な人たちがたくさんいて、ここでプレイできるのは最もありがたいことのひとつだと感じていますし、できるだけ長くいたいと思っています。今夜のショー、もしくは次のショーまたはアムステルダムのADEでお会いできることを楽しみにしています。ありがとうございました。
Interview by
TJO
Special Thanks:エイベックス
【Nicky Romero プロフィール】
ダンス・ミュージック大国オランダを代表するDJ/プロデューサー。
若き音楽界の奇才から、当代きっての影響力を持つアーティストへと成長した。
DJ、プロデューサー、そして現代のエレクトロニック・ダンス・ミュージックの最前線に立つレーベルの主宰者としての存在であることは言うまでもない。
代表的なヒット曲「Toulouse」や「I could be the one」に、2020年に立ち上げた別プロジェクト“Monocule”での活動等、ニッキーの経歴は、オリジナル、リミックス、エディット、共同制作など、印象的で長いディスコグラフィーを誇る。
彼の鋭敏な才能と先見の明を、より明確にしているのは10周年を迎えた、自身のレーベルProtocol Recordingsの成功と影響力だ。定期的に発表される多数の新曲、レーベルの拡大、技術的なトレンドの探求など、常に何かを仕掛けている。
https://nickyromero.com/