2015年の『ULTRA MUSIC FESTIVAL』、今年6月の『ULTRA KOREA』にも出演したドラム&ベース界の寵児ネットスカイが、4年ぶりにニューアルバム『III』を完成。
先行シングル“Rio”は彼の母国ベルギーチームのリオ・オリンピック公式アンセムにも決定(ビデオが可愛い!)。大の親日家でもある彼に、電話でインタビュー!
——新作『III』ではポップ、ロック、ファンクからEDMやジャズまで、様々なジャンルが網羅されていますが、それらとドラム&ベースが、とてもスムーズに融合されているので感心させられました。
それはどうもありがとう! すごく嬉しいな!
ドラム&ベースが僕の血に染み込んでいるのは間違いないけど、ドラム&ベースというジャンルが好きというより、ドラムブレイクが好きなのかな。
4つ打ちよりもこっちの方が好きなんだ。ジャズっぽいドラムパターンがあるから他のジャンルやテンポの音楽とうまく融合させることができる。インスピレーションはジャズやソウル、ファンクからも受けている。
——ジャズというのは、例えばどういった?
最近はあまり聴いてないけど、父親が熱狂的に好きだったのがマイルス・デイヴィス。いつも父親の部屋に入ると、マイルスのアルバムがかかっていた。だから僕もマイルスからはすごく影響を受けてるよ。
ほかに僕が受けた大きな影響といえば、一番大きいのがヒップホップじゃないかな。16〜17歳の頃に、ものすごくハマっていた。ヒップホップのソウルフルなビートが好きだったからモータウンやディスコ、マーヴィン・ゲイ、アレサ・フランクリンなど様々な音楽にもつながっていった。
——新作のリリースまでに前作から4年も掛かっていますが。
曲はいっぱい作ったけれど、ちっとも満足できなくて、いわゆるスランプってやつかな。精神的なものだと思うんだ。でも2年ほど前からまた調子を取り戻して、いい感じになってきた。
だからそのスランプの間は、リミックスなどもあまり手がけていなかったんだ。依頼があっても、本当にやりたいものしかやっていなかった。そんな中で自分でも気に入ったのが、ジャック・Uの“Take U There“のリミックス。
——アルバム制作で大変だった曲はありますか?
クローメオと作った“TNT”が大変だったかな。これまでの僕のやってきたサウンドからずいぶんと掛け離れていたから、新たな挑戦という感じだった。生演奏のように聴こえるサウンドにしたくて、いろんなパートが複雑に絡み合っているんだ。すごく大変だったよ。
——初期プリンスを彷彿とさせますよね。
うんうん、彼の“I Wanna Be Your Lover”をインスピレーションにスタートした感じだったから。あのが大好きなんだ。
Prince – I Wanna Be Your Lover (Official Video) 投稿者 Prince-Official
80年代のエレクトロ・ポップのニュアンスがあるのは、クローメオのアルバム『White Women』にも通じるところ。だから彼らに入ってもらって大正解だったと思うよ。
——ルディメンタルやシグマ、それにあなたも含めて、新しい世代のドラム&ベースを下敷きにしたポップソングが人気を呼んでいますよね。
ウィルキンソンの“Afterglow”やルディメンタルの“Feel The Love”が大ヒットした後、(ドラム&ベースの)UK市場は急速に拡大したんだ。
ポップソングにもドラム&ベースを取り入れることが増えたし、エネルギッシュな曲を作ろうとUKプロデューサーたちが躍起になってドラム&ベースを導入しようとした。雪だるま式に大きくなっていった気がするよ。
そもそもDJフレッシュあたり(2010年前後)から始まってたんじゃないのかな。だから現在は、その新世代の次くらいに当たる感じかな。
ただ、唯一僕が気になるのは、ポップソングの中には、安易にドラム&ベースを取り入れてる曲なんだよね。本当にドラム&ベース好きっていう感じじゃない気がするんだ。
——改めて新作『III』のコンセプトについて教えてください。
全曲それぞれが、僕の聴いてきたいろんなアーティストや音楽の影響を反映したようなアルバムにしたかった。まるで違うタイプの曲ばかりで構成してアルバムにしたかったんだ。ハッピーな曲からエモーショナルな曲、それにEDMまで、様々なタイプの曲を網羅しているよ。
今回幸運だったのは、僕のようなまだそれほどビッグじゃないアーティストのプロジェクトに、あのエミリー・サンデーのようなスターが参加してくれたこと。もうビックリだよ、信じられなかった。
アルバムに参加してくれた大半のシンガーたちには、まず曲を聴いてもらって、それから歌ってもらった。みんながリスクを買って出てくれて、とても感謝しているよ。エミリー・サンデーとのコラボなんて、2年前には夢にも思っていなかったからね。とにかく感激だよ。
——来日の予定はありますか?
去年からずっと日本に行きたい!って、そのことばかり考えているんだ。すぐにでも航空券を手配して飛んで行きたいよ。朝6時に早起きして築地に行ったり、小さな寿司屋で刺身を食べたり(笑)。
3週間ほど休みが取れれば、すぐにでも彼女を連れて日本に行っちゃうよ。彼女も僕と同じくらい日本食が大好きなんだ。その時は、仕事はしないで、とにかく日本で食べまくりたいな(笑)。
ちなみにリオ・オリンピックの開幕を前に、シングル“Rio”のニューリミックスがリリースされたばかり。新たにマックルモアがフィーチャリングで参加!
Netsky
III
Sony Music Japan International
iTunes
https://www.netskymusic.com
Text by Hisashi Murakami