みんなを盛り上げるのが僕の役目
ステージ前に特別なことは何もやらないよ。モチベを上げるための準備とかまったくやらない。
そりゃ気持ちの晴れない日もあるけどね。
とにかくステージに出ていって、みんなの“この瞬間を待ち構えていたぞ!”っていう顔を見ると、もう他のことなんてどうでもいい。すぐにみんなと同じ気持ちになれるんだ。
ただし、ホントにダメって日もあって、そういう時は自分で切り替える。みんなの気持ちを盛り上げたり、導いていくのが僕の役目だからね。
僕のショーに来る時は、みんなにも白紙の状態で来てほしい。妙に期待が高すぎると、ガッカリすることって多いよね。
もちろんケーキ投げみたいな決まりごとはあるけど、それ以外はノリ一発が大切だな。
自分でもいつも楽しみたいから、予定調和は避けている。ドキドキする感覚って大切だよ。
だから今回ゴムボートは東京ではやらなかったけど、大阪でやってみたりとか。
1万人にケーキを投げたよ!
ケーキ投げのアイデアが生まれたのは、オートエロティック(Autoerotique)っていうDIM MAK所属グループの“Turn Up The Volume”のビデオから。
YouTubeにアップしたら、1カ月で30万ビューを突破。ほとんど無名のグループとしてはすごいよね。
ケーキが爆発して、みんなの顔にぶっかけられるのを、スローモーションで映していた。
その後、半年間ほどは毎回ショーのたびにケーキ投げをやったよ。
そしたらケーキ投げの映像が人気を呼んで、そのうち“Cake Me”ってみんなが言うようになった。
今じゃ1回のショーで10個くらい投げるから、もう1万人くらいに投げつけたかな(笑)。
ロックバンドをやってた頃はマジで10〜20人くらいしか客がいなかったのを覚えている。
多い時で50人くらい。
ライブが終わってから、来てくれたファンと会って、いつもいろいろ話を聞いたよ。
ステージに立つ時は本気で歌ったし、血だらけになるほどギターを掻き鳴らした。
何人来たかってことより、来てくれた人にどれだけ伝わるか、それしか気にしてなかった。
嫌なことは音楽で忘れようぜ!
ハピネスの伝道師? そんなふうに言われると照れるけど、いつもこうだったわけじゃない。だんだん進化したって感じだよ。
最初の頃はすごく攻撃的な音楽をやっていた。パンクロックみたいな感じで開放感が大切だった。
そこからもっと音楽の楽しさってことを考えるようになった。“みんなで音楽で楽しもう!”ってね。
“嫌なことを音楽で忘れようぜ!”って感じでね。
体力作りは基本だね。一緒にツアーするスタッフとは全員参加でエクササイズをする。
“アオキ・ブートキャンプ”って呼んでるよ(笑)。
エクササイズで競争するんだ。負けたらもっとエクササイズをやらされる。もしそれが嫌なら、金を払うんだ。チャリティ団体に寄付することになる(笑)。
日本のお菓子とラーメンが大好き
食べものにはけっこう気を使ってる。でも、日本にいるとダメだね。普段は食べないようなケーキとか、すぐ食べたくなってしまう。
日本のケーキの美味さは世界イチ。“日本のケーキ職人をナメチャいかん!”ってよく言ってるよ。
世界イチ、ベストだよ。世界中のどこのお菓子より、日本のが一番だよ。
あとラーメンね。健康食じゃないのはわかっているけど、もう日本にいると食べるしかない。我慢できないよ(笑)。
あのラーメン&ライスなんて、炭水化物のとりすぎもいいところ。でも、せっかく日本に来たんだからって、食っちまう。
あと“オセンベイ”も大好きなんだよな〜〜(苦笑)。
カリスマの父親と日本人らしい母親
日本語は喋れない。けど、日本が大好きなんだ。
みんな礼儀正しくて、アメリカもこうだといいのにっていつも思うよ。いや、全世界がこうだといいね。
ステージからオーディエンスを眺めると、みんなエネルギー全開で思いっきり楽しみつつも、常に他人を敬うことを忘れない。
だから日本のショーでは安心して、オーディエンスの中に飛び込んでいけるんだ。
自分の中の日本人らしさは、母親譲り。父親じゃなくて、母親に育てられたからなんだ。
100%母親から受け継いだもの。父親は著名なカリスマ(オリンピックの日本代表レスリング選手のロッキー青木。ベニハナの創業者でも)だったけど、母親が僕を地に足のついた人間に育ててくれた。
日本の良さをきちんと教え込んでくれたよ。だから日本文化に共感できるんだ。
でもさ、アメリカ的な考え方に、ついつい頭の中が乗っ取られてしまう。気をつけなきゃ(笑)。
必死で働かなきゃって思うんだ
よくワーカホリックって言われるよ。父親もそうだったから、血がそうさせるのかも。
母親は、全然そんなじゃないよ。だからその点では父親に感謝しなくちゃね。
自分が今みたいなポジションにいられることにすごく感謝しているし、続けるためにも、必死で働かなきゃって思うんだ。
音楽を作って、みんなに聴いてもらって、こうしてインタビューを受けているけど、来年には違ってるかもしれないだろう?
こういう仕事は、ある日突然、全てを失っても全然不思議じゃない。だから全力で頑張る!
ドキュメント映画『I’ll Sleep When You’re Dead』(トライベッカ映画祭でプレミア上映された)は、4年間にわたる映像記録だよ。
父親との関係、恋人との関係など、普段は絶対に誰にも見せたくなかった素顔を明かしている。
いい映画だから、もし興味があれば観てほしい。
でも僕の音楽を楽しむ分には、関係ないから観なくていいかな。
出典:tribecafilm.com
次なるアルバム『Neon Future III』
次のアルバムは『Neon Future III』。
こんなに続くと思ってなかったけど、前2作とは全然違うんだ。
これまでにもJ・J・エイブラムス(映画『スター・トレック』『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の監督)など、音楽と関係ない人と一緒にやったけど、今回もまたビックリする人とやってるよ。(科学キャスターとして知られるビル・ナイ氏と)
出典:http://www.steveaoki.com
DIM MAKは中国語の武術用語!?
アメリカでも細々とDIM MAKアパレルを売ってたけど、ついに日本でも大々的に展開することになった。
14歳の頃から、自分でTシャツにスクリーンプリントして、バンドTなんか作っていたけど、やっとその夢がかなったよ。スポーツ用のユニークな素材を使ったりしている。
DIM MAKというのは、中国語で点穴(死の一手)のこと。
武術用語で、子どもの頃から大好きだったブルース・リーが由来だよ。(有名セレクトショップなどで販売中)
http://dimmakcollection.jp
ロン毛じゃなかった頃もある!?
この髪型は、放ったらかしにしてたら、こうなったってだけ。
そろそろケアしなきゃって思うけど、いつもホテルのシャンプーとか適当に使ってる。
え、他の髪型かい? ググったら、昔のやつが出てくるよ(笑)。
というわけで、ググってみたら……
http://www.steveaoki.com/music/36-embarrassing-pics-of-djs-before-they-made-it-big/
以上、EDM界イチの働き者&パーティ番長の徹底解剖でした!!
Text by Hisashi Murakami
Photo by Caesar Sebastian,
MUSIC CIRCUS,
KING∞KMHU, DIM MAK
Steve Aoki & Felix Jaehn
Can’t Go Home feat. Adam Lambert (Radio Edit)
Wall Recordings
iTunes
www.steveaoki.com