LAを拠点に活動するプロデューサー/DJの Cassian(キャシアン) が、新曲「A Feeling I Miss」をリリースした。
UKの新鋭シンガーソングライター Matt Ryder(マット・ライダー) を迎えた本作は、メロディック・ハウスとポップ・エレクトロニックの境界をゆるやかに行き来しながら、エモーショナルでフロアにも映えるサウンドに仕上がっている。Cassianはリリースに際して、「こういう曲を出すのは本当に久しぶりだった。過去を振り返ることで、前に進む一歩を踏み出せたような気がする」とコメント。原点回帰のようでいて、確かな進化を感じさせる作品だ。リリース直後からヨーロッパで話題を集め、イタリアでは週末のストリーミングチャートでトップにランクイン。挑戦的でありながら、Cassianらしいメロディックな美しさが際立つ一曲となった。静かなシンセレイヤーの上にRyderの繊細な歌声が重なり、やがてビルドアップを経て壮大に広がるシンセが空間を満たす。ドロップでは深く打ち込まれたキックが包み込み、クラブ仕様ながら胸に響くようなエモーションを感じさせる。Ryderの声にはJames Blakeを思わせる浮遊感があり、歌詞 “It’s just a feeling I miss” に込められた「失われた感覚への郷愁」がリスナーの心を静かに揺らす。Cassianはこの曲で、グルーヴと感情が交差する完璧なバランスを描き出している。
オーストラリア出身のCassianは、これまでメロディック・ハウスとテクノの狭間で独自の世界観を築いてきた。Afterlife、Rose Avenue、TSZRなどの主要レーベルから作品を発表し、累計ストリーミングは2億回を超える。プロデューサー/エンジニアとしても評価が高く、Rüfüs Du Sol、John Summit、Dom Dolla、Anyma、Adriatique、Hayden Jamesといったトップアーティストの作品に携わってきた。特に2022年のRüfüs Du Solのグラミー受賞曲「Alive」ではミキシングを担当し、オーストラリア音楽界の最高賞であるARIA賞も受賞している。
2025年にはAnymaのラスベガス「The Sphere」公演『The End of Genesys』で音楽監督を務め、12公演で20万人を動員。テクノロジーとライブパフォーマンスを融合させたその表現は、ダンスミュージックの新たな可能性を示した。
フェスではTomorrowland、Coachella、EDC、Lollapaloozaといった世界的イベントに出演し、Red Rocks、Hi Ibiza、Printworks Londonといったクラブでもヘッドライナーとしてソールドアウトを連発。Calvin Harrisの「Blessings」リミックスや、Yottoとの共作「Love Parade」なども大きな成功を収め、2025年のシーンを象徴する存在となった。
対するMatt Ryderは、バーミンガム出身の若きシンガーソングライター。17歳でデビューし、EP『Escape』や「Riverbed」で注目を集めた。アンビエントやR&Bの要素を取り込みながら、繊細な感情を描く彼の音楽性は、Cassianのメロディックなトラックと見事に融合している。
Cassianは「A Feeling I Miss」について、「この曲は、ソングライターとしてのルーツと、今のクラブシーンでの自分をつなぐ架け橋のような作品なんだ」
と語る。ソングライターとしての感性と、DJ/プロデューサーとしての現在。その二つの世界を結びつけた彼のキャリアにおいて、この曲は新しい章の幕開けとなるだろう。
現在、Cassianは世界ツアーの真っ最中。来年1月には「Electric Daisy Carnival Thailand」への出演、さらに2月にはニューヨークの「Brooklyn Storehouse」での単独公演も予定されており、ますます多忙な一年になりそうだ。新作EPのリリースも控えており、「A Feeling I Miss」はその序章として最高のスタートを切った。繊細で、力強くて、どこか懐かしい──CassianとMatt Ryderが描いたこのサウンドスケープは、“いまのダンスミュージック”が求めている理想の形を静かに、そして鮮やかに提示している。