アルバムはタイトル曲「Archangel」で幕を開ける。ピアノの旋律が空間に漂い、アンビエントな浮遊感からシンセが重層的に積み上がり、作品世界への導入を鮮やかに描く。
続く「Split in Two Minds」は、ラッパーseantommyを迎え、ダークでアグレッシブなサウンドへシフト。沈み込むようなシンセの質感が、閉塞感と緊張を描き出す。
「Yosemite」では、UKガラージの新鋭Interplanetary Criminalと共演。Reflektの名曲「Need To Feel Loved」(2004年)をサンプリングし、ハードハウス、スピードガラージ、トランスを交差させた設計で、KETTAMAをシーン最前線へ押し上げた象徴的ナンバーとなった。
■ KETTAMA & Interplanetary Criminal – Yosemite
■ Reflekt – Need To Feel Loved
そしてアルバムの中心に据えられるのが「Man With A Second Face」。2025年夏フェスを席巻したアンセムで、歪んだヴォーカルと反響するシンセが幾重にも折り重なり、ブレイクダウンでは破壊的な爆発を見せつける。
■ KETTAMA – Man With a Second Face
コラボレーションもアルバムを一層引き立てる。DJ HEARTSTRINGとの「If U Want My Heart」はトランス色の強いピークタイム・バンガーに仕上がり、Fred again..との「Airmaxes」はアンビエントの質感とエモーショナルなコード進行を融合させた意外性のある一曲だ。さらにセルフリミックスの「Airmaxes (KETTAMA Mix)」ではブレイクビーツを駆使したベースヘビーな仕様へと変貌し、別の顔を見せている。
■ Fred again.., KETTAMA, Shady Nasty – Air Maxes に関する記事はこちら
アルバム後半には、ウェアハウスやクラブの地下空間を直撃するハードなナンバーが並ぶ。Cloudsとの共作「Sort It Out」はインダストリアルなエッジと荒々しい爆発力を備え、アルバムを勢いそのままに駆け抜けて締めくくるクロージングトラックだ。