ロンドン出身のラッパー/プロデューサー Skepta(スケプタ) と、今やUKダンス・エレクトロニックシーンを象徴する存在となった Fred again..(フレッド・アゲイン) が再び手を組み、新曲「Back 2 Back」をリリースした。
両者のコラボレーションは、アメリカの著名ストリーマーでもあるラッパー PlaqueBoyMax を迎えた「Victory Lap」から始まった。6月にリリースされた同曲は、Twitchでの制作配信やブルックリンでのポップアップレイブで初披露され、熱狂を巻き起こした。
VIDEO
さらにFred本人が期間限定でステムを配布したことにより、数多くのリミックスやブートレグが生まれ、リリース直後からクラブ・アンセム化。Denzel CurryやHanumankindらが参加したバージョンも次々と発表され、UKメディアはこれを「Victory lap after victory lap(勝利の連続)」と評している。
そんな二人のコラボレーションの“後継作”とも呼べるのが今作「Back 2 Back」だ。SkeptaとFred again..による共同プロデュース作品で、UKベースミュージックに根差したタイトなビート、脈打つベースライン、ダークでアンダーグラウンドなシンセが重なり合う重厚なグライム・サウンドに、Skeptaの鋭利なフロウが突き刺さる。「real recognize real…」と繰り返す印象的なラインは、グライムからドリル、トラップに至るまで「真の表現者」として認められてきたSkepta自身の立場を力強く示し、シーンへの支配力と誇りを刻み込む。SNSでのティーザー公開時から世界的に話題をさらい、リリース直後には各国メディアが「2025年を代表するクラブバンガー」と評価した。
VIDEO
そしてサプライズ好きでも知られるFred again..は、8月に開催されたSkepta主催のフェス 「Big Smoke Festival」 において、2日目のサプライズ・ヘッドライナーとして登場。自身のヒット曲「Turn Off The Lights」や「Victory Lap」を披露し、SkeptaやJME、D Double Eらがその場でフリースタイルを重ねる豪華な展開となった。さらにSkeptaとの今後の新曲制作をほのめかし、観客を大いに沸かせた。
Skeptaは1982年生まれ。グライムを世界に広めたキーパーソンであり、UKラップの顔役とも言える存在だ。音楽にとどまらず、PumaやBurberryとのコラボ、自身のブランド「MAINS」の展開などファッションでも存在感を示し、ナイジェリアのルーツを取り入れた独自の美学でも知られている。彼の活動はビジネスや映画にまで及び、多面的にシーンを牽引してきた。
一方のFred again..は、『Actual Life』シリーズ(2021–2022)で一躍注目を浴びたプロデューサー/ソングライターだ。YouTubeの断片音源や友人のボイスメモをサンプリングし、日常のフィールドレコーディングを楽曲化する革新的な手法で、電子音楽をパーソナルかつエモーショナルに刷新。Brian Enoとの共作『Secret Life』やSampha、Anderson .Paakらとのコラボでも評価を高め、今夏ついにフジロックで待望の初来日を果たし、日本でも大きな話題を集めた。
また、Fred again..はソロ活動以前からStormzy、AJ Tracey、Headie One、Roots ManuvaといったUKの名だたるラッパーたちのプロデュースを手掛けており、その実力は折り紙つきだ。
VIDEO
Skeptaは現在、5年以上ぶりとなる新作アルバム『Knife & Fork』を準備中と噂されている。「Back 2 Back」はその展開に直結する重要な一曲となる可能性が高い。またFred again..が新曲を出すたびに楽曲を追加していく「USB」プロジェクトにおいても、この楽曲がキーとなることは間違いない。グライムとエレクトロニックの融合。これは決して偶然の産物ではなく、UKシーンを牽引する両者だからこそ実現したコラボレーションである。