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オランダのスーパースター、フェデ・ル・グランドに直撃インタビュー!

ダンスミュージック界屈指の正統派イケメンDJ、フェデ・ル・グランド(Fedde le Grand)。待望!7年振りのアルバム『Something Real』リリースしたばかりの彼に直撃インタビュー!たくさん話を伺ってきました。

ゴールデンウィーク中のPACHA FESTIVAL TOKYOでも圧巻のステージでアゲまくったフェデ・ル・グランド。

先日リリースされたばかりの最新アルバム『Something Real』について、これまでの音楽史についてなどなど、いろいろ聞いてきました!

feddelegrand

——どういう音楽を聴いて大きくなりましたか?

ジェームス・ブラウン、マイケル・ジャクソン、プリンスなど。父親の影響でソウルミュージックに夢中だったよ。母親はスティングやエンヤなどのほうが好きで、全然違ったけど(笑)。

僕がソウルミュージックやファンク好きだったのは、ああいう音楽を聴くと身体が自然に動き出してしまうからじゃないのかな。子どもの頃から、テレビの前でよく踊ったりしてたんだ。

——その後、自分から進んで聴き始めたのは?

ドクター・ドレーなどのヒップホップかな。
ああいうヒップホップって古いファンクのサンプリングをいっぱいしてるから、ファンクとも繋がっていたんだ。

特にドレーはパーラメント、ファンカデリックなどジョージ・クリントンをいっぱいサンプリングしていたからね。

でも、だんだんヒップホップがギャングスタになっていくにつれ興味が薄れていった。オランダに住む僕には、ゲットーとかよくわからない世界だったんだ。

——DJを始めたきっかけは?

インラインスケートにハマっていた頃に、友達がアシッドに夢中だったんだ。
ドラッグのことじゃないよ、音楽のほうね(笑)。

僕は聞いたこともなったけど、その友達はターンテーブルを2台持っていて、そこから少しずつ教えてもらったり、知り合いのホームパーティに行くようになり、僕も夢中になっていったんだ。

ノンストップでずっとダンスし続けて、しかも次にどんな曲がかかるのかわからない。知らない曲でも、フロウに乗せてかけると、曲の魅力がうまく伝わってくる。そういうところに惹かれたんだ。

——クラブにはよく行っていたんですか?

オランダにはいいクラブがたくさんあったし、ハウスミュージックのシーンも盛り上がっていた。初期ティエストのプレイなんかも見ているよ。
https://www.youtube.com/watch?v=SYs2HHYqmxw
——今から10年前に“Put Your Hands Up For Detroit”の大ヒットでブレイクを果たしますが、当時目指していたのはどのようなDJでしたか?

当時はテクノDJに憧れていたんだ。ジェフ・ミルズやカール・コックスなど。彼らのDJとしてのスキルに驚愕したよ。

アナログ盤のピッチを合わせるだけでも大変なのに、ターンテーブルを2台も3台も4台も使ったり(笑)。ドラムマシーンを加えたりっていうテクのすごさに圧倒されたんだ。

——新作『Something Real』はアルバムとしては7年ぶり。やはりDJにとってアルバム制作って大変なんでしょうか?

ダンスミュージック界ではシングルさえ出してればOKっていう風潮があるからね。

デヴィッド・ゲッタやカルヴィン・ハリスなんかは例外として、おそらく他のアーティストはアルバムを作る必要性をあまり感じてないんじゃないかな。

でもアルバムなら、普段とは違ったことに挑戦できる。実験的なことをやってもアルバムは許されるのがいいよね。

——となると、このタイミングでアルバムを出したかったのは?

トラックをベースにするんじゃなくて、もっと曲を主体にしたかったっていうかな、長く聴き続けてもらえるものを作りたかった。

いろんなテンポの曲が入っているし、いろんなタイプの曲をやりたかった。いろんな挑戦が許されるシーンになってきているんじゃないかって思うんだ。

——その点、いろんなスタイルを臨機応変に取り入れるのが得意ですよね?

いつも同じことをやっているより、僕はあれこれやってみたい方だからね。

“Put Your Hands Up For Detroit”がヒットした直後、いろんな人から同じようなリミックスをしてほしい、またあんな曲を作ってほしいって言われたよ。

でも僕は同じことを繰り返すつもりはなかった。それに関しては早い段階で決意していたよ。

同じものが欲しいなら、マクドナルドみたいなチェーン店に行けばいい。いつも同じものが提供される。

でも僕のやりたいことって、ちょっと違ってて、高級レストランって感じかな?
毎回出てくるメニューが違ってるみたいな(笑)。

——料理も得意なんですか?

彼女がインドネシア人だから麺料理とか超絶美味いよ。レシピ通りに料理するものなら得意なんだ(笑)。

——健康維持するうえで気をつけていることは?

家では、ほとんど肉を食べないよ。野菜中心の食生活。
でも旅をしている間は、そうも言ってられないかな。

食べ物や料理に関しては、すごくこだわりをもっている。食関係の話なら何時間でもおしゃべりできるよ(笑)。

——エクササイズは?

武術をやってたことがあるんだ。15年ほど。
でも移動が多い今の生活ではなかなかできないから、ホテルのジムで鍛えているよ。

PFT2016-FeddeLeGrand2

——DJになってなかったら何をやってたと思いますか?

グラフィックデザイナーとか、ちょっと興味あったけど…。う〜ん、やっぱりクリエイティブ関係かな。

——これまでのキャリアを通して、もっとも大切な曲を挙げるとすれば?

そうだな…いい曲なら他にもあるかもしれないけれど、自分にとってもっとも大切な曲は“Let Me Think About It”だと思う。

“Put Your Hands Up For Detroit”のヒットの後、一発屋だとか言われて、そりゃひどい扱いを受けていた。

アイドル・グループのメンバーみたいなルックスだとか、からかわれて、みんなからバカにされていた。クールじゃないってね。

この曲のヒットでやっと救われたというかね。

——あと2曲挙げるとすれば?

う〜〜ん(笑)大切な曲という意味ではコールドプレイの“Paradise”のリミックスかな。

あのリミックスを発表した後、彼らのコンサートのオープニングを務めるためにマドリードまで一緒に飛んだりしたから、特に印象的なんだ。

もう1曲は新作に収録されている“Lost”という曲。
作った時に、親しい人を亡くしたから。その思いが託された特別な曲なんだ。

——他のアーティストによる曲で自分が作っていたらと思うのは?

3曲挙げていい?(笑)。
ハウスってことならベースメント・ジャックスが今でも最高だと思うんだ。

彼らの細部にまでわたるエディットの手法とか、とにかく頭が下がるよ。“Jump N’ Shout”や“Fly Life”など、初期の彼らにすごくハマったんだ。

あとヒップホップならプロデューサーとして素晴らしいと思うのがティンバランド。へんてこりんなことを、そつなくやってしまえる。

あとドクター・ドレーとファットボーイ・スリムも加えていい?(笑)。

彼らは2大サンプリング王だと思うんだ。彼らはすごくいい耳を持っている。

ファットボーイ・スリムなんて、あっちのトラックとこっちのトラックのサウンドやボーカルを組み合わせたり、もう信じられないよ。

——最新シングル“Rhythm Of The Night”はコロナというグループの90年代の大ヒットですよね。それをカバーしようと思ったのは?

最初は自分のセットのためのブートレグで作っていたんだ。

ブートレグに関しては、僕はいつもラッキーなんだけど、イチかバチかコンタクトしてみたら、オリジナルのボーカルを使わせてもらえた。

みんな聴いたことはあるけど、誰の曲が知らなかったりするよね。いい曲だし、そういうのも面白いかなって思ったんだ。

——最後に今後の予定を教えてもらえますか?

ちょうど“Put Your Hands Up For Detroit”から10周年というのもあって、これまでに発表した曲をリメイクしようと思っている。

僕だけじゃなくて、他のDJプロデューサーたちの手も借りてね。
いつもすごくいっぱいリクエストが来るんだ。

それが今年のプロジェクトかな。あとこのアルバムを引っさげてのツアーもやっていくつもりだよ。

Fedde-le-Grand--Somethi-ng-Real-アルバムジャケット写真

Fedde le Grand
Something Real
Sony Music Japan International
www.sonymusic.co.jp/artist/feddelegrand/


Text by Hisashi Murakami