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DJランキングで5度も世界No.1に輝いた男、アーミン・ヴァン・ブーレン

独占取材!オランダが誇る世界最高峰のDJ、アーミン・ヴァン・ブーレン(Armin Van Buuren)が約2年の歳月をかけてじっくり取り組んだという最新アルバム『Embrace』(エンブレイス)について語っているインタビューが到着。2年間休まずにぶっ続けで作ってたってホント!? なぜそんなにアルバム完成まで時間がかかったのでしょうか??

大好評の最新アルバム『Embrace』(エンブレイス)を引っ提げて、世界ツアー『Armin Only Embrace World Tour』をまもなくスタートさせるアーミン・ヴァン・ブーレン。

記念切手やフィギュアも販売され、蝋人形にまでなっている彼が、いかに「神」であるかは『アーミン・ヴァン・ブーレンが神である10の理由』で、しっかり納得してもらえたでしょうか。

そんな彼が、どれだけ名曲を残してきたかは『EDM界の帝王、アーミン・ヴァン・ブーレンの名曲10選!』でチェックしてくださいね。何しろDJランキングで5度も世界No.1に輝いた男ですから。

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そんな「神」が、2年もかけてじっくり取り組んだという最新作について語っているインタビューが到着!なぜそんなにアルバム完成まで時間がかかったのかも、丁寧に答えてくれています。

まず新作『Embrace』の特徴は、1曲を除いてすべてが他のアーティストとのコラボで構成されていること。

オランダの人気シンガー、Mr. Probz(ミスター・プロブズ)と組んだり(リードシングル「Another You」)、Hardwell(ハードウェル)とのDJ同士のコラボまで(「Off The Hook」)、じつに多彩。でも、それこそアーミンのやりたかった念願のアルバム制作だったというわけです。




「アルバムのコンセプトは、そのタイトルにもある通り、あらゆる音楽スタイルと人格を”Embrace”(受け入れる)ということ。
なので、コラボする相手に、ただ単にインストを送って、ボーカルを入れてもらうというような流れ作業じゃなくて、実際にアーティストたちと一緒にスタジオに入って制作したんだ。
だからすごく時間がかかったよ。2年間休まずにぶっ続けで作業したんだ」

一番大変だったのは、オランダのロック・バンド、Kensington(ケンジントン)と一緒に作った「Heading Up High」(ヘッディング・アップ・ハイ)というナンバーだったそう。


「完成させるまでには1年以上もかかったよ。リードボーカルのEloi(エロイ)を捕まえて彼に歌ってもらうだけならすごく簡単だった。
でも今回はもっと大きなことを達成しようと思っていたから、トラックにはバンドのメンバー全員に参加してもらったんだ」

何年も前からずっとコラボをしたいと言い続けてきたドイツのトランス・デュオ、Cosmic Gate(コズミック・ゲート)とは、「Embargo」(エンバーゴ)というナンバーでついに共演が実現。


「アルバムで最も好きなトラックのひとつだよ。けっこう長い間、お互いに色々とアイデアの交換はしていたんだ。
何か絶対に完成させてやるという気持ちがお互い強かったし、いい結果になってすごく嬉しいな。
このトラックはダンスフロアで聴くと最高なんだ」

アメリカのシンガーソングライターのGavin Degraw(ギャヴィン・デグロウ)は「Looking For Your Name」(ルッキング・フォー・ユア・ネーム)にゲストシンガーでフィーチャリング。この曲は意外にもダンスナンバーではなく、切々と歌い上げられるバラード。後半にはオーケストラ演奏も挿入されて、しっとり、じわじわの感動フィナーレ。


「ギャヴィンとマイアミのスタジオで一緒に作ったんだ。でもトランス・バージョンにしたかったから、1年以上かけてリミックス作業を続けてみたけど、どうにもこの曲には合わなかった。
だから生のストリングスを足した以外は、すべてオリジナルのデモに近い形に戻してみたんだ。
マイアミで一緒に作った時のフィーリングを伝えたくてね。それを実現するには、シンプルに仕上げるのがベストだったんだ」

唯一コラボではないのが「Old Skool」(オールド・スクール)というナンバー。ちょっぴり懐かしいハウスパーティが大復活!


「僕がハウス・ミュージックを聴き始めた1986年頃を思い出しながら作った曲なんだ。
当時の音楽ってサンプルをいっぱい使っていたけど、まだトランスは存在していなかった。すべてがとてもシンプルな構成だったけど、インパクトは強烈。
この曲はそんな当時に敬意を込めて作ったんだ。でも、クスっと笑えるトラックでもあるんだ。そのユーモアのセンスをみんなにも感じ取ってもらえると嬉しいな」

ところで、なぜこのタイミングで彼はがっつりコラボをやってみたいと考えたのか。こんなふうに明かしてくれました。

「今になって分かったんだ。インスピレーションを受けて、僕自身がエネルギーと感動を受けない限り、音楽を作ることはできないんだってこと。
それにはいろんなサウンドや人々と仕事をすることが重要なんだ。今回、いろんなアーティストとの仕事を通して、たくさんのことを学んだよ。
過去に作った作品ももちろん誇りに思っている。でも、ずっと同じところをグルグル回っているわけにはいかない。何か新しいことに向かって常に挑戦していたいんだ」


さすがは17年間ものキャリアを築いてきたアーミン師匠。繰り返しに甘んじていたのでは、ここまで続かなかったってことですね。ますます彼の新作『Embrace』が興味深いアルバムに思えてきたんじゃないでしょうか。


ところで、アルバムのジャケは、Anton Corbijin(アントン・コービン)というU2やデペッシュ・モードを手がけてきた有名な写真家・映像監督が担当。アーミンも「アントンと仕事をするのが夢だったんだ」と語っています。

オンボロ・カーの上に載っけられているのは、すべてアルバムを作るために実際に使われた楽器だそうです。ちょっと粋ですね。

Armin-van-Buuren---Embrace
Armin Van Buuren
『EMBRACE』

2,000円(税別)
avex EDM
http://avex.jp/armin/


Text by Hisashi Murakami