「ULTRA JAPAN」ついに開催! 今年もメインステージには数多くのビッグスターが出演しますが、見所はそこだけではありません!

本家マイアミの「ULTRA MUSIC FESTIVAL」で今年からスタートした新ステージ“RESISTANCE”が、ここ日本にもやってきます。

このRESISTANCEはメインステージとの音楽性とは異なる、よりハウスやテクノに特化したステージで、ジョン・ディグウィードやサシャ、ジェームス・ザビエラ、ゴーゴン・シティなど世界各国からトップDJたちが勢揃い。

EDM全盛の今だからこそ、それとはまた違った魅力溢れる最先端のサウンドが体感できるのです。

では、そんなRESISTANCEはなぜできたのか、そしてその目的とは……そんなダンスミュージック・ラバーたちの純粋な疑問に応えるべく、今回はRESISTANCEの唯一のレジデントDJであるニック・ファンシウリにインタビュー。

今年の春にワールドツアー「ULTRA WORLDWIDE & RESISTANCE」で来日した際にいろいろと聞いてみました。

——まずは今年の「ULTRA MUSIC FESTIVAL」(以下UMF)を振り返ってみていかがでした?
「とても良かったよ。“RESISTANCE”という新しいコンセプトがスタートして、メインではEDMにフォーカスしていたけど、そこではまた違ったエレクトロニック・ミュージックを紹介しているんだ。
ラインナップもすごく豪華だったし、(開催中)3日間とも超満員だったらから大成功だね。
今年の『UMF』は、僕にとっては今までベストだったかもしない」

——その新しいコンセプト“RESISTANCE”に、あなたは最初から関わっていたそうですね。
「そういうわけでもないけど、僕とラッセル(UMFのスタッフ)で、ずっと前から話していたことだったんだ。もっとフェスとしてのアイデンティティが必要だと思ってね。
ただ、これは僕らのようなDJが世界中でやっていることと同じで、アイデンティティやブランドを発信して、小さなアンダーグラウンドなスケールから大きなマーケットに広げることに繋がることなんだ」

——最初にRESISTANCEの構想、そしてラインナップを知ったときは衝撃的でした。
「僕が『UMF』と一緒にやり始めて2年。そこにはもともとカール・コックスがいたし、DJダンやドラムンベースのアンディCなんかもいたし、本来『UMF』は1つジャンルにこだわったフェスだったわけじゃないんだ。
EDMもここまでマスになったのはここ数年の話だしね。RESISTANCEは、シーンが徐々に移り変わっていくのに備えている部分もある。いつかはそれがメインになるといいね」

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——「UMF」チームも、ダンスミュージック・シーンの移行を感じ始めている?
「そうだね。ただ、彼らはそれ以上に音楽に対する情熱が大きいんだ。(UMFのお客さんには)本当にエレクトロニック・ミュージックが好きなファンもいるし、そうじゃない人もいる。RESISTANCEの目的は、そこでプレイされるハウスやテクノをマスに持っていくことだと思う。そして、オーディエンスにEDMとRESISTANCEを選んでもらうことが大切なんだ」

——ちなみに、RESISTANCEというネーミングに関してはどう思っています?
「その由来は知らないけど、ソリッドな言葉だと思うし、僕は好きだね。この名前も彼らなりのブランディングの一環なんだと思う。ただ、僕はアリーナでEDMをプレイすることは絶対にできないし、RESISTANCEの方が心地いいよ。僕はハウスをプレイするからね」

——あなたはRESISTANCEのレジデントでもあるんですよね。
「それについては、とても嬉しいよ。『UMF』の人たちとは世の中の音楽がどう動いているとかいつも話をしていて、同じ考え方を持ってるからね。
僕自身、『UMF』というブランドに関わり続けたいと思っているし、実際にブッキングにも関わっているし、プレイもする。とてもいい関係だと思ってる」

——あなたがRESISTANCEにいる意味はどんなところにあると思います?
「僕はいろいろなところでプレイしているから、彼らに僕の情報をインプットしてあげるんだ。そして、誰がプレイするべきか考える。今のマーケットに対して間違えないように話し合っているんだ」

——今年初めてRESISTANCEのステージはいかがでした?
「イギリスのグラストンベリー・フェスティバルでも活躍している有名なチームが今回のステージに関わっていたんだけど、それはすごく良かったね。とてもサイケデリックなステージで、炎やスモークの演出があったり。あとは、360度観客に囲まれているステージだったんだ。それは僕にとっては新しいことだったね」

——初のRESISTANCEのステージを成功させ、ここからどんなステージにしていきたいと思いましたか?
「基本は『UMF』のチームに付いていくつもりさ。みんな『UMF』のブランドを背負って頑張っているから、一緒にやっていきたいと思ってる。
『UMF』はとても素晴らしいんだ。会場では2〜3つのステージがあって、人々に選択肢を与えることができる。今、メインステージではポピュラーな曲がかかってるかもしれないけど、それがいつ真逆にスイッチするかわからない。だから、僕はそれに備えるだけ。これからも全ての『UMF』を見たいと思ってる」

——EDMについてはどんな印象を持っていますか?
「それこそ2000年代初頭のアメリカ・ラスベガスのメイン・ステージは、ヒップホップだったんだ。でも、アメリカでもっともコマーシャルな場所であるラスベガスで、今はカルヴィン・ハリスやアフロジャックがDJをしてるし、ラジオもそう。以前とは完全に違うよね。

ただ、これは悪いことじゃない。例えばスクリレックスのアルバムやディプロとジャスティン・ビーバーの曲も決して悪いレコードじゃないようにね。いうなれば、ポップ・アートがエレクトロニックなアーティストと結びつこうとしてるだけだと思う。

今回の『UMF』でもジャスティン・ビーバーがメインステージに登場していたけど、お客さんにとってはそれだけで彼がクールなんだと思うだろうし。2年前にアヴィーチーのステージにマドンナが登場したときもそう。ゆっくりだけど、エレクトロニック・ミュージックは確実にアメリカでナンバーワンの音楽になると思うな。かといってジェイZやカニエ・ウエストがいなくなることはないけど」

——エレクトロニック・ミュージックは、まだまだ成長し続ける?
「アメリカでは、『UMF』の前週にもロサンゼルスでフェスがあって、そこでは3日間で5万人を集めていたんだけど、出演していたのはみんなエレクトロニック・ミュージックのアーティストだった。ラスベガスの『EDC』なんて30万人も集まってパンパンだ。
その他にも『TomorrowWorld』や『electric zoo』などがあって、どれもメインステージでかかるのはエレクトロニック・ミュージック。以前はバンドだらけだったのにね。そういうことだと思うよ」

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——あなた自身の作品についてはどうですか? アルバムを出す予定とのことですが。
「僕のアーティスト・アルバムは作り始めて6年目になるけど、やっと今年の年末にリリースする予定さ。これまでレコードは30枚くらい出したんだけど、アルバムはずっと自信がなくてね。制作に関しても、正直今まで一番大変だった。
アルバムをたくさん作っている人は本当にスゴい、尊敬するよ。
今回の作品が最初にアルバムになるけど、それが最後にアルバムになる。それは決めていたんだ。もう二度と作らないと思う(笑)」

——それは残念ですが、ファンから熱望されたらどうします?
「もし、今回のアルバムがみんなに気に入ってもらえたら……またスタジオに戻るかもね(笑)」

——あなたにとってDJとはなんでしょう?
「それは、大好きなレコードをかけるということ。もともと、僕はレコードショップで働いて、バーでDJをしていたんだけど、そのころからほとんどしゃべることはなかったんだ。
当時は有名になりたいという気持ちも全然なくて、ただ好きな音楽をプレイしていただけでさ。その後、徐々に東京やアメリカ、素敵な場所に行くようになって、プレイすることでもっと世界と繋がりたくなったんだ。

僕は、自分が世界でもっともラッキーだと思ってる、これ以上素晴らしい仕事も人生もないからね。長いフライトや辛いこともあるけど、それ以上に好きな仕事ができて幸せだ。
お金や地位とか欲に関係なく、ただ好きなことをやっていたらここまでこれた。何よりもピュアに情熱を注げる仕事だと思う」

——DJに関して言えば、そのポジションや役割もだいぶ変わってきた感があります。
「コマーシャルなDJは、ステージにあがって1時間のプレイをする。そこでは花火があがったり、パワーテクニックがあったりするけど、僕らにはそういうのはないんだ。
場所も、ときには小さなクラブでやることもあるし、4〜5時間続けて人を踊らせ続けなくちゃいけない。だからムードを作って、始まりと終わりをしっかりと考えなくちゃいけないんだ。

もちろん、プレイの途中もクラウドをキープしなくちゃいけないから、みんなのことを読むんだ。サシャなんかも一晩中プレイして、そこでサウンドスケープを作ってるしね。

説明するのは難しいんだけど……それは旅みたいなものだね。フェスのメインステージではリアクションが重視されるけど、僕らがやっているのは旅なんだ。僕たちはマラソン、彼らは短距離走みたいなもんだね。コンセプトが全然違う。

ただ、EDMのアーティストたちも僕らの音楽に対する情熱はあると思ってる。イビサのSpaceでプレイしているときに彼らのことをよく見かけるけど、みんな楽しんでるし、そういう音楽も好きなんだよね」

——最後に日本のファンにメッセージを。
「東京は、プレイするのがもっとも好きな場所の1つだよ。日本人の辛抱強さやエナジーを感じると、またスタジオに戻って次のギグに備えようといつも思う。
みんなクラブ・カルチャーを愛しているし、何よりクラブも音も最高だ。日本人はオルタナティブなものを大切にしていて、みんながみんないつもメインストリームじゃないところも大好きさ」

ULTRA JAPAN 2015
会場:TOKYO ODAIBA ULTRA PARK (お台場ULTRA JAPAN特設会場)
開催日時:9月19日 (土)、20日(日)、21日(月・祝)
出演者:Afrojack, Alesso, Armin van Buuren, Dash Berlin, David Guetta, Nicky Romero, Skrillex, DJ Snake, Ansolo, Carnage, Chase and Status (DJ), Fedde le Grand, Gorgon City (DJ), Harvard Bass, James Zabiela , John Digweed, MIJA, Nic Fanciulli, Pendulum, Robin Schulz, Sasha, SIGMA, Sub Forcus (DJ), Vicetone, Zeds Dead and more
http://ultrajapan.jp/

Text by EDM MAXX編集部(James)